今回撮影してみて大きく手応えを感じたのは、動画撮影モードの取り扱いだ。以前はモードダイヤルの一部として動画撮影モードがあったため、動画撮影中にしぼり優先やシャッター優先などに変更する際は、いちいちメニューから変更する必要があった。
だが今回はモードダイヤルの下に静止画・動画・S&Qが独立したため、動画撮影時にしぼり優先やシャッター優先がモードダイヤルで変更できるようになった。これまで動画撮影では、素早く設定を変えたいときにもどかしい思いをしてきたが、確実に操作性は上がった。
その代わり、ダイヤルでの優先状態がキープされるため、動画と静止画で別々のモード状態を記憶するといった使い方はできなくなった。例えば静止画ではシャッター優先、動画では絞り優先に設定しておいて、静止画と動画を切り替えながら撮る、みたいなことはできなくなった。
また従来型のP/A/S/Mではなく、FX3で採用されたフレキシブル露出モードにも対応する。これは特定のボタンを長押しすることで、一部だけマニュアル化できるという、シネマ/ビデオカメラっぽい操作系だ。
フレキシブル露出モードにも切り替え可能S&Qが独立したのも、ハイスピード撮影を頻繁に行なう人にとっては改善と言えるだろう。ただ本機では4Kでの最高フレームレートが60fpsなので、ハイスピードでは2.5倍までしか撮れない。一方α7S IIIでは4Kでも最高120fpsで5倍撮影ができるため、利用価値は高い。こうしたモードスイッチは、α7S IIIに付いていたらもっと生きただろう。次作α7S IVに期待したい。
4K撮影では最高フレームレートが60fps最高スピードでも2.5倍撮影となる画素数が増えたことで懸念されるのが、感度の低下だ。α7Sシリーズがあえて画素数を減らして画素面積を拡大し、高感度を実現しているのはご承知の通りだが、約2.7倍画素数が増えた本機の暗部撮影性能が気になるところである。
今回はF2.8、シャッタースピード1/30に固定してISO感度を順に上げていったが、最高のISO 102400では空のノイズが若干気になるものの、後処理でノイズリダクションを加えれば問題ないレベルだろう。ISO 51200ぐらいまではリダクションなしでもそのまま使用できそうだ。なお肉眼での見た目はISO 3200ぐらいの暗所である。
ISO 100から2倍ずつ上げて撮影今回のサンブルはクリエイティブルックを除き、すべてS-CinetomeでXAVC HS 4K/24p/4:2:2 10bit/100Mbpsで撮影している。下記のサンプル動画は若干彩度を上げた程度で、コントラスト等はそのままだ。動画カメラとしてもなかなか見応えのある絵に仕上がっているのではないだろうか。
S-CinetomeでXAVC HS 4K/24p撮影のサンプルまた昨今ミラーレスをストリーミングに利用する例が増えているが、本機もUSBストリーミング機能を備えている。さらにUSB接続時の挙動として、常時ストリーミングモードで動作するモードもできた。
USB接続時にストリーミングモードで固定できるようになった従来機のようにいちいち設定変更してからUSBを刺すといったてまが省けるだけでなく、最高4K解像度でもストリームが出せる。またストリーミングしながらの本体記録にも対応するなど、なかなか器用なカメラに仕上がっている。
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