エンジン関連修理・整備 [2020.07.15 UP]
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車のメーターパネルには警告灯がいくつも表示されていますが、それぞれの意味はご存じでしょうか?あまり気にせず運転している人は多いようですが、それではトラブルが発生したときに適切な対応ができないかもしれません。今回の記事では、警告灯のなかでも「エンジン警告灯」に注目し、どのようなときに点灯するのか説明します。点灯したときの対処法もご紹介しますので、ぜひ押さえておきましょう。エンジン警告灯の表示の意味を把握し、正しく対処できると、運転はますます快適になるはずです。
この記事の目次車のメーターパネルには以下のようにさまざまな種類の警告灯があり、各装置に異常が発生したら、ドライバーに知らせてくれます。・エアバッグ警告灯・ABSブレーキアシスト警告灯・ブレーキ警告灯・充電警告灯・燃料残量警告灯・水温警告灯・シートベルト警告灯・セキュリティ表示灯
異常発生時以外でも、エンジンスイッチをONの位置にすると警告灯が一斉に点滅し、システムが異常なしを確認すると消灯する仕組みです。警告灯の色は国際規格(ISO)によって決定されており、世界共通で赤色が危険、黄色が注意、緑色が安全を表します。エンジン警告灯の場合、「赤色」はすぐに車を停める必要がある深刻な状態を意味し、「黄色(橙色)」は速やかな点検が必要ということを意味します。黄色のエンジン警告灯が点灯しただけで、すぐに停車する必要はありませんが、異常があるかどうかの確認はするべきでしょう。警告灯の色や種類に関する知識があると、運転中に警告灯が点灯しても落ち着いて行動できるはずです。ぜひ、この記事でエンジン警告灯に関する詳細を把握していきましょう。
エンジン警告灯は、エンジンをかたどったマークで「エンジンチェックランプ」とも呼ばれ、エンジン制御システムの各センサーの故障トラブル等を知らせます。基本的にはエンジンの不調を知らせるものですが、一部の車種ではエンジン・トランスミッション両方のトラブルを知らせる仕様となっています。
最近の車にはコンピューター制御技術が多く搭載され、すべてのセンサーが正常に機能して、はじめて良好な動作がキープされます。そのためエンジンの不調は、ほぼセンサーの不調といっても過言ではありません。その核となるのが「ECU(Electronic Control Unit)」です。エンジン内部への燃料噴射の制御、空気と燃料の混合比や点火タイミング、排出ガス状態を最適に保つといったように、状況に合わせてエンジンが最も良い状態なるよう自動調整する役割を担っています。ECUには自己診断機能があり、エンジンを正しく動かすうえで不具合があれば、エンジン警告灯でドライバーに知らせる仕組みです。ただし、あくまでも異常があることを知らせるだけなので、その詳細は整備工場・ディーラーで調べることになります。
前述のように、エンジン警告灯は「エンジンスイッチをONの位置にしたとき」と「エンジン制御系センサーの異常を検知したとき」に点灯します。それぞれの点灯の特徴は次のとおりです。
キーを回してエンジンスイッチをONの位置にすると、メーターパネル内のすべての警告灯が点灯します。このときに、各警告灯のランプ切れや警告システムそのものの異常がチェックされます。もし、この時点で点灯しない警告灯がある場合、早めに整備工場・ディーラーに相談してください。異常がないことをシステムが確認すると警告灯は消灯しますので、エンジンスイッチON時の点灯は心配不要です。
エンジンには無数の制御システムがあり、安全走行を阻害したり十分な性能を発揮できなかったりする危険性がないか、センサーが常にチェックしています。そして異常値を検知すると、走行中・停車中のどちらであっても、エンジン警告灯が点灯してドライバーに知らせます。
エンジン警告灯が知らせるトラブルの症状は、各制御センサーが持つ役割によって大きく異なります。この項では、センサーごとのトラブルの症状を解説しますので、理解を深めていきましょう。
エンジン警告灯関連で最も多いといわれているのが、O2センサーのトラブルです。O2センサーは、排出ガスの酸素濃度を測定し、最適な燃焼状態の維持と監視をおこなう役割を担っています。O2センサーの異常時にはエンジンの燃焼状態が正確に把握できなくなり、アイドリング時の回転異常、マフラー触媒部が高温になる(最悪は発火)などの症状が現れることがあります。また基本的には燃料を多く噴くようになるため、燃費が悪化します。ただし、急に車が停まる、スピードが落ちるなどということはまずないようなので、その点は心配しなくて良いでしょう。なお、O2センサーは日本車の場合、約10年もしくは約10万kmもつといわれています。
エンジンは空気と燃料を混ぜて燃焼することによりエネルギーを発生させます。エアフローセンサーは、エンジン内に送る空気量を計測し、それにより燃料の噴射量を調節しています。このセンサーが故障し、実際にエンジンに送られる空気量と計測される空気量に差が生じると、燃料噴射が正確でなくなって、パワーが出にくくなり、エンジン警告灯が点灯します。エアフローセンサーが不具合を検知してエンジン警告灯が点灯した場合、エンジン吸気系のトラブルや故障が考えられます。これは、燃焼には致命的なトラブルです。また、メンテナンス不足によるエアクリーナーやエレメントの汚れがある場合にも、エンジンに送る空気量が減るため、適切な燃焼がおこなえずに警告が出ることがあります。基本的に、エアフローセンサーは丈夫な装置なので、エアフローセンサーの故障が原因で警告灯が点灯することはあまりありません。ただし、センサーの故障を放置するとエンジン停止にもつながりますので、メンテナンスは必要です。
イグニッションセンサーは、エンジンの点火制御に使われるセンサーです。最近の車は点火タイミングがコンピューター制御されていますので、エンジン点火に乱れがあるとエンジン警告灯が点灯します。警告を放置すると最悪、エンジンが止まってしまいますが、エンジン点火に不調がある場合、エンジン警告灯が点灯する前にドライバーが異変に気付くのが一般的です。ですから、ほとんどの場合は最悪の自体に陥らずとも対処できるトラブルといえます。
バッテリーセンサーはバッテリー作動状態をチェックするセンサーです。センサー異常やバッテリーが上がってしまったときにエンジン警告灯が点灯します。ドライバーがバッテリー交換をした際に端子接続がきちんとできていないと、点灯する場合もあるようです。また、バッテリーセンサーの異常以外に、電圧低下等バッテリー寿命のタイミングで表示される事例もあります。その場合はバッテリー交換が必要です。バッテリー自体や接続をチェックしても警告灯が消えない場合、専用のコンピューターでエラーコードを消去してもらったほうが良いケースもあります。
アクセルポジションセンサーは、アクセルの踏み込み量を測るセンサーで「アクセル開度センサー」とも呼ばれます。このセンサーに異常があると、変速・回転数に影響するといわれており、走行そのものに影響するセンサーです。以下のような症状があるときは、そのまま走行を続けるのは避け、整備工場やディーラーに点検をお願いしましょう。その際、必要があればセンサーを交換することになります。・オートマ車の変速が不調・アクセルを踏んでいるのにエンジン回転が上がらない・トラクションコントロールが不作動 など
カム角度、クランク角度センサーは、エンジンのパーツ「カム」「クランク」の角度を測り、ECUにエンジンの回転状態を送るセンサーです。これらのパーツは常に高速で動くため、正確な位置からズレてしまうことがあります。ズレを感知するとエンジン警告灯が点灯しますが、ある程度のズレがあってもエンジンは回転できてしまうため、走行自体に問題はありません。ただし、このズレは燃費を低下させてしまいます。このセンサーが燃費向上のためにあるといわれる所以です。長期間放置して角度のズレが許容範囲を超えると、走行中に突然エンジンが止まる、始動できなくなるなど、大きなダメージにつながる可能性があります。エンジン始動時に違和感がある人もいるようですので、早めに点検しましょう。
エンジン警告灯は以下のような原因でも点灯することがありますが、事例としてはそう多くありません。
給油口キャップを開けるときに、「シュッ」と圧力が抜ける音がすることに気付かれているでしょうか?給油口キャップは内圧を調整していますが、劣化で内圧が保持できなくなるとエンジン警告灯が点灯します。また、給油口キャップがしっかり閉まっていないときにも点灯する場合があるようです。
各種メーターに異常が発生すると、エンジン警告灯が点灯・点滅します。放置するとエンジンがかからなくなる場合もあり、メーターの不具合は快適な運転を妨げますので、早めの点検がおすすめです。
最近の車には多くの電装品が搭載されており、たくさんのセンサーが付いているのが通常です。エアコン・オーディオシステムといった快適装備の他に、駆動系や充電系といった車の走行に欠かせない機器にもセンサーが装備されています。これらの走行と安全に関わるセンサーが異常を検知すると、エンジン警告灯が点灯・点滅する場合があります。
エンジン警告灯が点灯したときでも慌てずに済むよう、適切な対処法をご紹介します。まず、黄色で点灯するエンジン警告灯は、赤色と比べて緊急性は高くないことを覚えておきましょう。ただし、ドライブなどで遠出をしている最中にバッテリートラブルが起きると、なかなかロードサービスを呼べず足止めされるといったケースもあります。状況を考慮して判断する必要があるでしょう。また、エンジン警告灯は多くのセンサーと関係しているため、一般の人には原因の特定は容易ではありません。ですから、以下の流れで対処するのがおすすめです。
エンジン警告灯が点灯しても、慌てて車を停めないことです。周囲に注意して安全な場所に移動し、停車しましょう。突然の点灯に驚いて、すぐ近くの路肩などに車を停めてしまいがちですが、これはNGです。高速道路の場合、事故や故障、急病といったやむを得ない理由がなく、道路上で駐停車することは認められていません。路肩も含めて駐停車は禁止されていますので、パーキングエリア・サービスエリアで停車しましょう。一般道でも、急な停車は周囲に迷惑をかける可能性があり、危険なことに変わりありません。近くの駐車場に移動して停めるようにしましょう。警告灯点灯時は、焦らず落ち着いて行動することが大切です。高速道路の走行や長時間の運転は避け、もし高速道路を走行中なら、早めに一般道に下りましょう。
一般のドライバーに、外出先でエンジン警告灯が点灯した原因の特定や対処は困難です。普段からお世話になっている整備工場やディーラーに電話して、どうすれば良いのか指示を仰ぎましょう。整備工場・ディーラーでは、担当者が専用機器で原因を特定します。電話で伝えることは以下のとおりです。・警告灯の点灯に気付いた日時・走行中に気になったこと(エンジン回転数や変速の不調など)・現在地(自宅や整備工場までの距離がわかる情報)
車は、少しのトラブルでさまざまな警告灯が点灯する仕組みになっています。外出先で想定外のトラブルが起きないようにするためには、整備工場・ディーラーで定期点検を受けると良いでしょう。普段からお世話になっているところなら、ドライバーはトラブル発生時に相談がしやすいでしょうし、担当者も原因特定がしやすいはずです。また、定期点検をお願いしていると、いざというとき気軽に頼れる関係を築きやすいというメリットがあります。トラブル発生時に相談できる専門家がいるのは、とても安心です。
エンジン警告灯が点灯したときは、程度の差はあるにしろ、何かしらの異常が発生しています。この警告灯が知らせるトラブルの症状は各センサーの役割で大きく異なり、一般のドライバーが特定・対処するのは困難です。エンジン警告灯が点灯した際の走行は控え、できるだけ早く、整備工場やディーラーで点検・修理をおこないましょう。トラブル発生時に気軽に相談に乗ってもらえるよう、普段からお世話になっているところで定期点検を受けておくのがおすすめです。
ライタープロフィール
グーネットピット編集部車検・点検、オイル交換、修理・塗装・板金、パーツ持ち込み取り付けなどのメンテナンス記事を制作している、自動車整備に関するプロ集団です。愛車の整備の仕方にお困りの方々の手助けになれればと考えています。
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