A300 Proは、DAC内蔵のアクティブスピーカーだ。フィル・ジョーンズ氏は、本機を「プロの現場でも通用するアクティブスピーカー」に仕上げたという。まずは、その概要を見ていこう。
アンプ出力は、ツイーター用が10W、ウーファー用が120W(ともに1台あたり)とハイパワーだ。左右それぞれの筐体に高効率低リップル電源と、Texas Instrumentの「TPA 3251」デジタル・パワーアンプを内蔵。デジタルインターフェースはXMOSのXcore-200マルチコアプロセッサーとTexas InstrumentのDSPチップ「TLV320AIC3268」で構成される。
アクティブスピーカーというと、左右の電源ケーブルはもちろん、音声ケーブルまで左右にそれぞれ接続しないといけないと思われるかもしれないが、本機はモニター目的の使用を除いて、音声ケーブルの接続は片側のみでOKだ。Bluetooth接続では、電源ケーブル2本を接続するだけで終了。詳細は後述する。
高域用にホーンロード・リボンツイーターを採用ドライバーは、高域用にホーンロード・リボンツイーター、低域用に16.5cmアルミニウム・コーンウーファーを搭載。リボンツイーターは、AIRPULSEの全てのアクティブスピーカーに採用されているトレードマークのような存在。強力なネオジウム・マグネットでドライブされるアルミニウム・リボン・ダイヤフラムは、ワイドレンジで高感度、優れた過渡応答と解像度を持つとのこと。
綿密に計算されたホーン形状で、反射による影響を抑えている。アルミニウム・コーンウーファーのボイスコイルは、強力な磁気回路でコントロールされる50mm径のアンダーハング型。硬質アルマイト処理が施されたアルミニウム合金コーン振動板を高いリニアリティで正確に駆動する。なお、モニター機ということもあり、サランネットは存在しない。
低域用に16.5cmアルミニウム・コーンウーファーを搭載エンクロージャーは厚さ25mmの高強度MDFだ。内部には定在波吸収のために36mm厚のプロ用吸音素材を配置。背面には、楕円形のバスレフ・ポートを採用している。これは風切り音を最小限に抑えるためだ。
入力端子の豊富さも本機の魅力。モニター用途に向けて、XLRとRCAの入力を左右のスピーカーそれぞれに用意。コンシューマー向けには、RCAの他に多様なデジタル入力を使用できる。こちらの入力端子は右スピーカーにまとめてある。
右スピーカーの背面端子部。SPDIFは光/同軸の両対応。USB入力も装備しているSPDIFは光/同軸の両対応。USB入力も装備。オーディオグレードのUSBケーブルも使用出来るUSB-B端子だ(USB2.0仕様)。有線のデジタル入力は、PCM 192kHzまで対応。DSDは非対応となる。テレビ放送などで使用されるMPEG-2(or 4) AACは非対応なのでPCM変換してから出力してあげよう。Bluetoothは、SBC/aptX/aptX HDに対応する。
モニター用途の場合は、それぞれのスピーカーにアナログケーブルで接続する。ボリュームも各スピーカーで調整可能だ。リニアではなく、段階式の可変。背面のLEDには数字で表示される。
ボリューム最小から最大にしたところ。LEDで数字も表示されるモニター用途の場合、定位やバランスをよりシビアに追い込まなければならないため、あえて左右のレベル差を付ける場合もある。部屋の形状や家具の配置などによって、音の聴こえ方は変わってくるが、リスニングポイントから厳密なチェックを行なうことが主目的である以上、モニター用途ではあえてボリュームを個別に調整出来るようにしているのだろう。
高域・低域のイコライザーもスピーカー毎に調節可能だ。シェルビングタイプのイコライザーは、高域用±3dB、低域用±6dBの範囲内で調節する。
コンシューマー用途では、右スピーカーのみに音声ケーブルを接続すれば、左右の伝送は無線で行なってくれる。USB入力については、PCはもちろん、USB-DAC直接接続に対応したNASも視野に入れて良いだろう。
Windows向けの専用ドライバーは、本国のサイトからダウンロードする。XMOS系の他のドライバーを使っていたら、あらかじめアンインストールしておくと安心だ。できれば、輸入代理店ユキムの日本語サイトにドライバーへのリンクが欲しいところ。
SPDIF入力(光/同軸)は、ゲーム機やレコーダー、Blu-ray/CDプレーヤーなどの接続に利用する。とはいえ、昨今のゲーム機やテレビ関連機器は、SPDIF出力の廃止が進んでいる。ケーブルのグレードが音に出やすいアナログ接続に比べて、デジタル接続は安価なケーブルでも受け側のクオリティ次第ではそこそこの音質を楽しめるので、時代の流れには残念な気持ちもある。
付属のケーブル付属品は写真のとおりだ。やや長めのRCAケーブルが入っているのはさすがだ。光デジタルケーブルまで同梱している。リモコンは、入力切り替えやボリューム・イコライザーの調節が出来る。ただし、リモコンのボリュームとイコライザーは、モニター向けの入力時(バランス XLR/アンバランスRCA)には使えない。
付属のリモコンコンシューマー向けの入力時には、背面の入力選択をOTHERSにすると、リモコンのボリュームとイコライザーが操作可能になる。こちらはモニター用途と違い、左右一括で操作することになる。
付属の説明書は、海外版の日本語訳と思われるが、図を多用しており、解説がとても丁寧で和訳も自然だった
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