-昨日のプレスカンファレンスは、なんというかかなり変わった演出でしたね。印象的でした。
吉田氏(以下敬称略):演出が素晴らしかったですよね。ショーのようで。私もおとといに初めて構成を見たんですが、「ああ、こんなことをやっているのか」と驚きました。「Days Gone」のプレゼンテーションで、背景にいたフリーカーズというゾンビが動き出したの、お気づきになりました? 最初は人形だと思っていたものが動き出したり。
-すべてのタイトルで背景をぜんぶ細かく演出していましたよね。プロジェクションマッピングまでして。
吉田:ちょっと短いビデオを流したり、ショーン(・レーデン氏。SIEAプレジデント)が少し話したりしましたけど、ぜんぶ背景を目立たせるためにやっているような感じで。
プレスカンファレンスの模様-まったく数字の話もしない、完全なタイトル推しでしたね。その中でも、非常にファーストパーティーの作品が多かったことが印象に残りました。その背景にある開発計画などは、どのような形になっているのですか?
吉田:PS4の時代もそうだったのですが、ローンチタイトル(ハードウエア発売時期周辺に販売されるタイトル)は「納期優先」になります。だからある程度手堅いところをやります。そのチームが過去にやってきたもので、スケジュールとクオリティが読めるものを作りました。
結果的に、発売から半年以内に色々なタイトルを出せたと思うのですが、「その後」の、ローンチ担当でないチームは、けっこう狙うんですよ。次世代感というか、最初からPS4を前提にした、前世代ではやっていない・できないプロジェクトに取り組むんです。我々の会社のカルチャー的にも、そういうことを推奨する部分があります。PS4になってハードがわかりやすいものになったこともあり、みんな「イケイケ」「プッシュ」でやっていたんです。
それが……ふたをあけて見るとすごく大変な作業で。
これは弊社だけではないと思いますが、この世代は製作規模が非常に大きくなって、最初に想定していたよりずっと長い時間がかかっているチームがほとんど、ですね。
それもあって、初年度以降はファーストパーティーのタイトルが少し薄くなったんですね。本来はもう少しペースを落とさずに2年目・3年目に出したかったのですが……。幸いプラットフォームの勢いとしては良かった。サードパーティーのサポートやプラットフォームの勢いで売ってきた部分はあると思います。
昨日のカンファレンスでお見せした「God of War」や「Spider-man」や「Days Gone」を含め、そういったチームが4年・5年かけて作り込んできたものが、去年後半から継続的に、スムーズに出せるようになってきた……ということでしょうか。
そこを、E3のプランニングをするチームも見てくれていて、WWSのタイトルをかなり多めにフィーチャーしてくれているのかな……と思います。
-今のゲーム業界では、サードパーティーでは「マルチプラットフォーム戦略」を採るのが基本です。一方で、そうすると、PCを含めた他のプラットフォームとの差別化ができない。特にゲーミングPCの勢いは増しており、完全にひとつのメインストリームです。マイクロソフトも「Xbox One X」をお披露目しました。そのような状況では、結局自社コンソールでのみ楽しめるファーストパーティ作品に注目が集まると思うのです。今回はそれを意識してやっていたのでは、と思うのですが。
吉田:一歩引いてご覧になれば、そう見えるでしょうね。実際、弊社としてもそう考えています。
そもそも弊社の中でのWWSへの投資というのは非常に大きいんです。ずっと、社員数の半分近くはWWSの人員です。それくらい、自社のタイトルへの投資はずっと積極的に行なっています。サードパーティーとコラボレーションしていいタイトルを作り上げていただけく、ということは当然やっているわけですけれど、やはり、自社で投資して作り、他社では投資しないようなものも含めてチャレンジしていくのはPlayStationのカルチャーです。それはいまも残っていますから、ユーザーさんから見ても、「PlayStationで遊ぶ」ことの意味合いになっているのではないでしょうか。
昨日、「ワンダと巨像」のリメイクを発表した時も、非常にいい反応をいただきましたが、それは長い間オリジナルを作ってきて、支持していただいているからかと思います。
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