--経済圏やタッチポイントの話と絡むところでは、2019年にヤフーとLINEの経営統合が発表されました。統合は2021年3月になりましたが、国内のビッグプレーヤーが統合することで、大きな変化も予想されますが……。
ヤフーとLINEの経営統合が延期に。新型コロナで10月予定に遅れ
西田:スマートフォン以前はヤフーがポータルとして圧倒的に強かったけれど、スマートフォンになって日本でもGoogleが強くなりヤフーの比率が減りました。ヤフーとしてはユーザーとのタッチポイントを作り直さないといけないが、検索エンジンでは今さら勝てない。
ではどこでタッチポイントを作り直すかといえばそこはメッセージング、ということでLINEと組むのは必然ですね。組んだ結果としてポイントや決済も持っているので、うまくいけばタッチポイントを検索エンジンだった時代からリビルドできる。PayPayとLINEがくっついたところにヤフーが乗っかっているという考え方ですが、無理矢理な構造でもあるので、実際の統合まで時間がかかる。
鈴木:LINEとしてはカード事業とメッセージング、あとはLINEのユーザー層、この3つがポイントでしょう。人の流れを制御した上でどう経済圏を作り出すか。データビジネスが本当にできるのかも含めてどのようにビジネスモデルを組み立てていくか。
西田:データビジネスは世界的に逆風が吹いていて、FacebookやGoogleやAppleもどう見直すかを考えている。その流れが日本に来ているのをヤフーとLINEはわかっていて、だから具体的な施策を練り直しているんでしょう。昨年合併が発表された流れではデータビジネスでいけたが、今年になってその話をほとんどしていないのは見直しが入っているんじゃないかな。
--Yahoo!スコアもすぐに終わったのが印象的でした。あの辺りは中国のAlipayとかを参照していると思ったのですが。
鈴木:中国の「芝麻信用」のようなサービスですね。あれはボーナス特典に近くて、生活がそこまで大きくは変わらないよね、という。
Yahoo! スコア終了。「満足いただけるサービス提供に至らない」
ペイの次はスコア? なぜ「スコアリング」「レンディング」が増えているか('19年8月)
--ロイヤルティプログラムの変化球のようなものでしょうか。
西田:中国はそれまでこういうサービスがなかったので有効に働いていますが、日本やアメリカやヨーロッパなどそれぞれの国の事情でビジネスが回っているところに中国のビジネスを貼り付けてうまくいくのかな、と。今年1年で正気に戻った感じがありますね。
鈴木:中国は決済、CBDC(中央銀行デジタル通貨)、芝麻信用など民間に任せていたところがありましたが、アリババ子会社が上場しようとしたら習近平がストップしたように、企業が独自で巨大化すると締め付ける方向にあります。そういう点では中国ですらこういうサービスが育つかは怪しい。
「中国がデジタル通貨の試験サービスを開始」の背景を探る
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