※本記事は、2021年10月25日刊行の定期誌『MarkeZine』70号に掲載したものです。
米国の総広告費は、2020年時点で約27兆円ほどとされている。そのうち、オンライン広告が約13.3兆円、テレビ広告が約6.9兆円と続く。この広告2強カテゴリーの“テレビ”の中にオンライン経由での出稿が増えてきており、日本市場にも“あと少し”でこの潮流がやってくる予兆がある。
米国でテレビ広告のオンライン出稿が膨らんでいる様子として、「コネクテッドTV」「アドレサブルTV」の広告市場を合算した予測数値が図表1だ。
2021年には1.5兆円の規模になる予測で、これはテレビ広告市場全体の2割程度に相当する。日本の“総”広告費が約6.2兆円と言えば、その規模感が理解できるだろう。
コネクテッドTVの広告費を受注する代表的なプレーヤーには、Amazonの「IMDb TV」、Rokuの「RokuChannel」、Googleの「YouTube TV」、そして「Hulu」などサブスク配信の大手がおり、他にも無数のテレビ無料配信アプリ(AVOD)が存在している。一方で、こうしたオンライン経由のコネクテッドTVだけでなく、Samsungが提供するサービス「1st Screen Plus」やVizioの「WatchFree+」など、ハードウェア・サービス側もアドレサブルTV広告の市場を膨らませていることに気づいておきたい。これらのテレビ受像機メーカーのスマートテレビには出荷段階から上記のRokuやHuluのボタンやアプリが搭載済みであるため、広告配信によるビジネス展開が可能な仕組みに発展している。
さらに米国での注目は、The Trade Desk(以下、TTD)の存在だ。TTDは上記のプレーヤーをまとめて接続・配信する立ち位置であり、広告主はテレビ広告のオンライン配信枠をTTD経由で購買する。オンライン経由のテレビ広告出稿が増え、TTDへのオーダーが集中した結果、現在TTDの時価総額はなんと4.2兆円規模(電通グループの約4倍)にまで成長している。AmazonやSamsung、TTDなどによって、日本が知らぬ間に圧倒的に大きな市場が構築されている様子だ。
日本では、まだほとんど皆無と言えるエコシステムだが、この流れが止まることはない。日本でも法改正が進んでおり、米国と同じ現象が今後起こるのは明らかである。既にソニー、パナソニックなどがこの動きを追いかけている(参考:SMNとAbemaTVが協業 コネクテッドテレビ領域における広告効果の最適化と測定の強化へ)。日本のテレビ局が参入するのが待ち遠しい。
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オンライン配信の広告が支える、米国のテレビ広告市場カテゴリー
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