PS4・Xbox Oneの世代から、ゲーム専用機は「x86系アーキテクチャ」になった。PCとの親和性が高まり、ゲーム開発がより容易になったわけだが、一方で、「より良いゲームをする場合、ゲーム機を選ぶのかPCを選ぶのか」というジレンマが生まれた。各プラットフォーマーの独占タイトルを除くと、多くのタイトルは「マルチプラットフォーム展開」が基本になった。そうすると、一番いい画質・一番高いフレームレートで遊ぶなら、お金をかけてゲーミングPCを調達するのがいい……という状況になった。
もちろん、コストパフォーマンスの問題は大きい。とはいえ、「ではなぜゲーム機を選ぶのか」ということが、より重要になってきたのは間違いない。だからこそ、中間世代である「PS4 Pro」や「Xbox One X」も産まれた。
次の世代がPS4 ProやXbox One Xのような「単純進化型」ならわかりやすい。しかし、それではPCとの差別化が難しくなっていく。
この点について、サーニー氏は「Road to PS5」の冒頭でこう述べた。
「私は、コンソール(ゲーム専用機)に『世代』があることが大切だと強く信じています。5年から7年で次の世代に移行し、その後、前の世代ではとてもできなかったようなゲームが作られるようになるからです」
世代変化による「驚き」はとても重要なものだ。PS4 Proの取材でサーニー氏にインタビューした時も、彼は「ゲーム機の世代進化がなくなるとは思っていません。それがゲーム業界にとっては健全な考え方だからです。次世代を作るなら、明確に違う体験のものになるでしょう」と話していた。
すなわち、PS5が「PS4の次の世代」になるということは、明確に違う体験を用意している、ということだ。
一方、アーキテクチャそのものは、x86+GPUを組み合わせたAMDと共同開発のSoC、という点で変わらない。開発難易度を大きく上げ、世代間で環境が隔絶されては困るからだ。
PS5も、AMDと共同開発のカスタムSoCを採用するサーニー氏はビデオの中でこう説明した。
「最終的には、1カ月程度の時間をかければPS5のゲーム開発を本格的に取りかかれるようになります」
PS1からPS3になるに従い、開発を始めるための習熟に必要な時間は長くなっていったが、PS4から方向転換。PS5でも「1カ月程度」を目標とするPS4との互換性についても、「PS4のトップ100タイトルは、ほとんどがそのまま動いた」(サーニー氏)としている。カスタムプロセッサーにPS4モードを用意することで、互換性維持を進めている。
PS5のSoCには「PS4/Pro互換モード」が用意され、PS4のゲームがそのまま動作することを目指し開発が進められている開発者とユーザーにとって課題となる点をカバーした上で、PS5は「次世代とはなにか」をコアの部分から考えなおしたハードウェアになる。
「ハードウェア開発チームとして、新しい夢を見つける必要があります。それは、CPUパフォーマンスやGPUパフォーマンス、RAMの量の話ではありません」
サーニー氏はそう語った。ゲーム機の「スペック」においてそれらはとても重要なものだが、PCとは違う道を行く以上、リニアにスペックを伸ばす方向には行かない、ということだ。
一方で、それはPS5より高いスペックを打ち出してきたライバル、Xbox Series Xに対するアンチテーゼでもあるのだが、その辺は後ほど解説する。
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