まず、新iPad Pro 12.9インチモデルの概要をおさらいしておこう。デザインは現行モデルからあまり変化はない。0.5mm厚くなり、40gほど重くなっているのだが、これはミニLED採用による影響と考えて差し支えないだろう。
プロセッサーは「A14シリーズ」から「M1」に。この辺は、プロセッサーの数を絞っていきたいアップルの戦略によるものと考えられる。そもそも、iPad Proでは末尾に「X」や「Z」のついた、高パフォーマンスな特別バージョンのプロセッサーが採用されることが多かったわけだが、毎回特別バージョンを作るよりは、ハイパワーなM1を使った方がコスト効率はいい。
「タブレットにM1が必要か」という話もあるが、価格面で折り合いがつくなら、誰も高性能で困ることはない。iPad Proはもともとタブレットとしては高価であり、今回の製品でも価格帯に大きなブレはない。だとすれば、M1を使うことはウェルカム、というところだろう。
初代iPadと比較し、M1搭載のiPad Proのパフォーマンスは、CPU速度で75倍、GPU速度で1,500倍にも向上しているポイントはやはり、12.9インチモデルにおいて、バックライトに「ミニLED」を採用した、ということだろう。アップルはミニLEDを使ったディスプレイを「Liquid Retina XDRディスプレイ」と呼んでいる。採用しているのは12.9インチのみで、11インチには未採用だ。これは、価格や重量などでの棲み分けを考えたものだ。
アップルは、12.9インチiPad Proに搭載しているディスプレイを「Liquid Retina XDRディスプレイ」と呼んでいるミニLEDとは、テレビ風に説明するなら「小型のLEDを大量に使った、直下型バックライト」である。一般的なPCやタブレットの液晶ディスプレイはサイドライト型で、導光板を使ってLEDの光をディスプレイ全体に拡散して光らせる。その代わりに、液晶の直下に大量のLEDを配置して光らせるのが「直下型」で、それを非常に小さなLED素子で実現するのが「ミニLED」、ということになる。
新iPad Proの場合、全体に1万個以上の青色LEDを配置し、さらにそれをいくつかセットにしてエリアを構築、画面全体をエリア分割して光をコントロールする。発表内容によれば、エリア分割数は2,596となっている。従来、サイドライトで使っていたLEDは「72個」だというから、大変な差である。
ミニLEDの搭載数は1万個以上。これがディスプレイの下に敷き詰められているディスプレイ全体を2,500以上に分割。アップルが公開した資料によればエリア分割数は「2,596」エリア分割駆動させれば当然、映像の明るい部分と暗い部分を分けて光らせることができる。だから結果として、ディスプレイ全体で輝度をコントロールしている一般的なサイドライト型に比べれば、明るい部分と暗い部分のコントラストは強くなる。アップルによれば、カタログスペックとしてのコントラストは「100万対1」、ピーク輝度は1,600nits、画面全体での輝度は1,000nitsになるとしている。
コントラスト比は100万対1このスペックは素晴らしい。ピーク輝度とコントラストで言えば、58万円で売られている「Pro Display XDR」に匹敵する。もちろん、サイズや解像度が違うので単純比較はできないが、「持ち運べるディスプレイとしては最高クラスの画質になる」ことが期待できる。
プロ向けの「Pro Display XDR」に匹敵する性能を、iPad Proの薄さに詰め込んでいる重量・厚みはこれまでのiPad Proから若干増えているが、実現されたものの価値を考えると許容範囲だろうナビゲーションリスト
プロセッサーを一新、1万個以上のLEDをディプレイの下にカテゴリー
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