スマートグラスを着け、ナシの木の枝を切り落とす宮部さん=県園芸研究所果樹研究センター
拡張現実(AR)を活用して果樹の剪定(せんてい)技術を遠隔指導する実証実験が15日、魚津市の県園芸研究所果樹研究センターで行われた。カメラ付きメガネ型端末「スマートグラス」を装着した若手研究員に対し、ベテラン指導員が映像を見ながら指示を送った。本格導入されれば、新規就農者への効果的な技術継承が期待される。 県園芸研究所果樹研究センター勤務3年目の宮部理子研究員(27)がスマートグラスを着け、センター敷地にあるナシ畑でナシの木の枝切りを実践した。 施設内で待つ県広域普及指導センターの関口英樹副主幹(57)が、宮部さん目線で撮られた映像をパソコン画面で確認し、樹木の状態や切り落とす枝の見定め方などをマイク越しに助言した。また映像を切り取り、マーカー機能で切断箇所を示した静止画像を宮部さんの端末に映し出し、「枝を15センチくらい残して切って」「切断面の向きは?」などとやりとりしながら作業した。
宮部さん目線の映像をパソコン画面で確認し、剪定する枝を助言する関口さん
ナシ栽培の経験が浅い宮部さんは「声と画像の指示を受け、熟練者がどのような視点で作業しているかが理解できた」と振り返った。端末には作業マニュアルなども表示できる。長年にわたり研究・指導に携わる関口さんは「遠隔ながら効率よく助言できるのが利点だ」と話した。 産業や地域社会のデジタルトランスフォーメーション(DX)を進める県が、NTTドコモと実施した。本年度は太閤山ランドの電動キックボード、県美術館の自動案内ロボットなどを含めた五つの実証実験を行い、3月に成果報告会を開く予定。 (石川雅浩)
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