パスの数が異常に多い傾向にある時代に、2021年のNFLの基準では「ショートパスで繋ぐ」というのはもはや侮辱的な表現として扱われている。
だが本当にそれでいいのか?
クオーターバック(QB)マック・ジョーンズの時代を迎えたニューイングランド・ペイトリオッツは保守的なスタートを切っており、短いながらも信じられないほど効率的なパス攻撃に大きく依存している。新人ジョーンズのパス成功率は73.9%と、対象となるパサーの中ではリーグ6位につけている。今のところインターセプトはなく、ランニングバック(RB)のデイミアン・ハリスが開幕戦でファンブルさえしていなければ、ペイトリオッツは2勝0敗でAFC(アメリカン・フットボール・カンファレンス)東地区の単独トップに立っていたかもしれない。
現地20日(月)に『WEEI』の“Merloni And Fauria Show(メルロニ・アンド・ファウリア・ショー)”に出演したジョーンズはこう話している。「ターンオーバーのスタッツを見てみると、その数が少ないチームがだいたい勝つんだ。なぜかはよく分からないけど、割合的にはかなり高い。俺たちは相手よりもターンオーバーが少なかった。(日曜日は)相手のターンオーバーをもっと活かすべきだったと思っているよ。それでも、すべてのポゼッションをキックで終わらせることができるなら、試合の流れは自分たちに向いているということだ」
つまらない話だと思っていることだろう。
しかしながら、これは以前から23歳のジョーンズに備わっていた特性だ。
「俺にとってこれは常に教えられてきたものなんだ。調整できることはそうしようと思っている」とジョーンズは説明し、コーチングを受けながら「自分のルールに忠実に、空いている人に投げる」ことを心がけていると言う。「混乱したり、複雑になったりすることはないはずだ」
現地では、相手にショートパスでの攻撃を仕掛け続けることでペイトリオッツのオフェンスは成功するのかという議論が巻き起こっている。『Next Gen Stats(ネクスト・ジェン・スタッツ)』によれば、ジョーンズのパスアテンプトあたりの平均飛距離はわずか5.6ヤードと、リーグで5番目に低い数字だという。さらにジョーンズは10エアヤード以上のアテンプトに関してはリーグ内で最も保守的なクオーターバックの一人であり、アテンプト数15回、スローまでの平均時間2.78秒、アテンプト平均16.5エアヤードを記録しており、いずれもNFL内で下位10位以内に入っている。
ペイトリオッツの攻撃コーディネーター(OC)ジョシュ・マクダニエルズは火曜日に次のように述べた。
「もちろん、フィールドの全エリアを攻撃して、ディフェンスにすべてを守らせることができるようにしたい。われわれはそれを続けられるように取り組んでいく。その部分でチャンスが生まれるようにもっと手を尽くせると思っている。同時に、試合のタイミング、スコア、状況、リスクとリターンのバランスも考えなければならない」
マクダニエルズOCはさらに強調するように「リスクを背負ってディープフィールドへのパスを出すかどうかも重要なバランスになってくる」とつけ加えた。
これは、ペイトリオッツとマクダニエルズOCがジョーンズをより有利な状況に置くために最善を尽くしていることと関係があるのではないかと容易に推測できる。とりわけ他の新人シグナルコーラーたちがキャリアの出だしで苦労していることを考えれば、それは理にかなっていると言えよう。全体2位指名のQBザック・ウィルソンを4回もインターセプトしてニューヨーク・ジェッツに25対6で圧勝した試合で、ペイトリオッツはそのことを間近で実感することができたはずだ。一方でマクダニエルズOCは、それは自分のオフェンスのやり方ではないとも話している。
「私は彼を完全に信頼している」とマクダニエルズOCは言い、ダウンフィールドパスに影響を与える要因としてプロテクションやブリッツをあげた。「彼のために出し渋っていることは何もない。それだけは言える」
「今後の展開として、フィールド上のそういう部分も試せるようにしたいのはもちろんだが、彼にはスマートな判断をしてもらいたいと思っている。フットボールを守り、攻撃的になるべき時には攻撃的になってもらいたい」
【R】
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