Netflixは9月10日、東京オフィス内に新拠点「Netflix アニメ・クリエイターズ・ベース」を開設したと発表した。クリエイターやアニメーション制作会社などのパートナーへの支援を強化する。
Netflix アニメ・クリエイターズ・ベースは、8月に移転した新オフィス内に設置されたもの。デザイナーやアーティストが席を置く空間となる「デザイナーズ・ガレージ」、シナリオを組み立てたり、作品の核となる脚本の打ち合わせに使う「ライターズ・ガレージ」、将来的に作品で用いることのできる技術を試行する空間となる「ラボ」の3つから構成され、長期的にアニメーション制作のツールや技術の進歩を支援する空間を目指す。
Netflix アニメ・クリエイターズ・ベース内「デザイナーズ・ガレージ」にて。Netflix アニメ・クリエイターズ・ベース 所属デザイナー 石舘波子氏(左)とNetflix アニメ チーフプロデューサー 櫻井大樹氏(右)Netflixは、2017年にアニメのクリエイティブを統括する担当チームを東京に新設。現在、アニメ作品はNetflix上で年間1億2000万世帯以上で視聴され、100の国や地域でTOP10に入るほど世界中で人気が伸び続けている作品ジャンルのひとつになっているという。Netflix アニメ チーフプロデューサーの櫻井大樹氏は「アニメが日本のみならず世界中に届く、潜在層にも届くようになってきた実感がある」と現状を説明する。
Netflix アニメ・クリエイターズ・ベースは、開設当初は、コンセプトアートのデザイン開発に注力し、制作過程の根幹であり最終的な映像の土台ともなるプリプロダクションのさらに前段階を強化する計画だ。
コンセプトアートとは「作品の世界観が伝わる1枚絵。時代や暮らしぶりなど、根本の世界観がわかるもの」とNetflix アニメ・クリエイターズ・ベース所属デザイナーの石舘波子氏は説明する。櫻井氏も「コンセプトアートはプリプロダクションのさらに1つの前段階に位置するもの。ただ、忙しい現在の制作現場では省略されてしまいがちな工程でもある。Netflixとしてはプロジェクトの早い段階から、各スタッフの目線をあわせるという意味でも、コンセプトアートを提供し作品に役立ててほしいと思っている」とコメントした。
発表会では、現在CLAMPとともにNetflixのアニメ「グリム」を手掛けるウィットスタジオ プロデューサーの完戸翔洋氏とのパネルディスカッションも実施した。宍戸氏は「グリムの企画を聞いた時は、Netflixならではと感じた。誰もが知っているグリム童話をNetflixがアニメにしたらこうなるという形を体現している。例えば『赤ずきん』であれば、狼の視点を取り入れていたりと、これがとてもNetflixっぽい」とコメントした。
また、コンセプトアートについては「作品の根幹をなすもの。プリプロダクションに入る前に選択肢がすでにある状態になる。現場ではなかなか人が回らない部分でもあるので、そこの部分をクリエイターズ・ベースに補ってもらえるのは新たなチャンレジであり、新たなアニメの道なのかなと思っている」と重要性を説いた。
櫻井氏は「クリエイターズ・ベースには脚本家や編集ができる人にも入ってもらい、作品づくりに関わる制作パートナーへの支援を強化させていきたい」と話した。
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