東京ゲームショウ2013で展示されたXbox One
--いまのユーザーはすでに、タブレットやスマートフォンといった「オールインワンデバイス」を使っています。Xbox Oneは「オールインワン・エンターテインメント」を指向していますが、両者の違いはどういった点になると考えていますか?
スペンサー:まずは「テレビ」というものの性質から考えてみましょう。テレビというのは、家庭でもっとも大きく美しいスクリーンです。それに、もっとも良いサウンドシステムでもあります。だからこそ、ゲームはテレビでやりたい、と思うんです。
もちろん、あなたの意見には同意します。すでに我々は、様々な「万能デバイス」に囲まれています。タブレットやスマートフォンやPCでは、映像も見れるしゲームもできるし、ウェブも見られる。そういったデバイスをどこでも、交通機関の中や学校、オフィスなどの移動中にでも、使っています。
そうしたデバイスから我々は、Xbox Oneを開発する上で色々なインスピレーションを受けました。
一番大きいのは、そうしたデバイスでは「即時に色々なことを同時にできる」という点です。いまあなたが、PCやスマートフォンで行っているように、です。
現在人々は、同じ空間の中に、テレビとゲームコンソールの他にも様々な機器を持ち込んでいます。ですから我々も「Xbox SmartGlass」に投資することを決めました。これは複数のデバイスを使った体験として、最も良いものだと思っています。例えばポーカーをしている時、私のスクリーンには自分のカードが見えています。そしてテレビの方には、場に出ているカードが見えています。このように、「つながったデバイス」で一緒にスクリーンを使えるということは、単独のスクリーンに比べてのメリットといえるでしょう。
--大きいスクリーンで色々なことができる良さとは?
スペンサー:例えばForza Motorsportsをやる時には、集中してやりたいと考えます。ゲーマーだったら当然で、大切なことです。ゲームファンはゲームに集中したいと考えるものです。でもですね……。
私とあなたが友達だったとして、一緒にゲームをしたいと思った、としましょう。もしくは、単に一緒に話したいだけで、ゲームはまた今度、ということでもいいです。
そんな時、私達はSkypeを使いますよね。メッセージを送って、「ヘイ、いっしょに遊ばない?」って。それに私は「ノー、ごめんね」って答えることもできれば、「OK」といってゲームに呼び込むこともできます。
そうした時、サイドにSkypeを呼び出して同時に行なうことができるわけです。
--すなわち、ゲームをしながら、応答するか止めるか、自由に選んで同時にこなしたい、ということですね?
スペンサー:一つの目的としてはそうです。
Xbox Oneを設計する時、我々は目的の一つとして「複数のことを同時に行なう」ことを考えました。
例えば先ほどのSkypeのシナリオならば、Xbox 360でForzaをプレイしている時にSkypeが来たら、Forzaを止め、Skypeをロードして動かし、私にコールがつながるのをまって「一緒にForzaをやろうよ」と言わなければならなかったわけです。そしてさらに、Skypeアプリを終えて、ゲームをプレイするためにForzaへと戻っていました。こうなっていたのは、システムが「同時に1つのことをする」ことしか考えていなかったからです。率直にいって、Xbox 360のシステム設計はもはや「古い」のです。
しかしXbox Oneでは、瞬時にSkypeに移って応答できます。
別の例も示しましょう。Forzaにはたくさんの実在のコースが収録されています。例えばその中で、ベルギーのスパ・フランコルシャンを走るとします。私がスパに興味が出てきて、コースのことをもっと知りたくなったとしましょう。実際のスパのコースのビデオを、YouTubeで見たくなりました。その時には、「Xbox, Snap Internet Explorer」と言えば、ゲームの横にはIEが「Snap」表示されます。YouTubeをSnap表示したければ、「Xbox, Snap YouTube」と言えばいい。そしてそれらの中で実在のコースの情報や映像を見ながらプレイできます。
こういったことは、今でもPCや携帯電話、タブレットを使えばできることです。でもそれを、Xbox Oneでも素早く切り換えながらできます。
--すなわちXbox Oneの場合だと、そういうことをゲームコントローラーを手放すことなく、素早く行なえる、ということですね?
スペンサー:その通り。あなたはいいマイクロソフトのPR担当になれますよ(笑)
Forzaをプレイ中ならば、もちろんコントローラーを握っていますよね。その最中に、コントローラーを置いてPCをブートしてタイプして……ということはしたくない。Xbox Oneならば、「Xbox, Snap YouTube」「Xbox, Search Spa」といえばいいわけです。ゲームから離れる必要はありません。同様に操作にはジェスチャーも使えます。ワンハンドでコマンドを入れられます。でも、ボイスで命令を与えるのが一番いいでしょうね。
--そのような機能を「濃いゲーム体験」とともに提供しようとする場合、ゲーム体験の側にロスが生まれないようにコントロールする必要が出てきます。ゲーム側にはなにも影響が出ないように工夫されているわけですね?
スペンサー:はい。その通りです。このプラットフォームでは3つのOSが動いています。大きなゲーム向けの、トラディショナルな「Xbox OS」。そして「Windows」システム。これでIEやSkypeなどのアプリケーションが動きます。さらに、それらを調停するタスクスイッチング用OSです。
Xbox上のゲーム、例えば「Forza Motersport 5」や「Titan Fall」、「Ryse」などは、フルフレームレート・フルビジュアルで動きます。他のアプリがどう動いているかは感知しません。アプリとの同時表示にあわせ、ポーズやズーム表示などが行われるだけです。OSがそうした動きをすべてコントロールします。クリエイターはその辺を、まったく考える必要がありません。
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