100円ショップで購入できるものから、高いものでは10万円以上するものまで、幅広い価格帯の商品があるイヤホン。値段の分かれ目となるのがその音質なのだが、イヤホンの音質がどのような仕様によって向上するのかを理解している人はどのくらいいるだろうか。少しコアな話になるが、今回はそんなイヤホンの構造や、高音質を作り上げる要素を紹介していく。
まずは、そもそもイヤホンはどのような構造をしていて、どのようにして音を鳴らしているのかを解説していく。
イヤホンには、ネオジム磁石という強い磁力を持つ磁石と、電線をグルグル巻きにした構造のコイルが内蔵されている。この磁石には金属の振動版が取り付けられており、音源がコードから電流として流れると、この振動版を取り付けた磁石を揺らし、その空気振動が音となるのが基本的な原理だ。
磁石を揺らしてできる空気振動は、イヤホン内の空洞や材質、網などによって下処理を施され変化し、最終的に音となってユーザーの耳に届く。これらの材料や構造がメーカーや機種によって違うため、それぞれの音に違いが出るのだ。
また、コード部分の材質は主に銀や銅が採用されているため、品質が低ければ不純物が混ざり、音にノイズが混ざる原因になる。
高価なイヤホンと安価なイヤホンの違いはその音質にあるといったが、それは構成する部品の材料が違ってくるのが原因だ。ケーブルの素材が同じでも、音を劣化させないために銀や金、スズなどがメッキとして使われている場合もある。
プラグやコネクタの部分には、金やニッケル、ロジウムなどが使われ、これも音質を左右する。ロジウムとは白銀元素の1つで、俗にいう「レアメタル」。電気抵抗が少なく音の劣化が微少なため、高価な機種には採用される場合が多いのだ。
安価なケーブルには銅が定番なのだが、銅は低音を通しやすいという性質がある。逆に銀は高音域を繊細に再現するのに向いていて、高級イヤホンが繊細な音を再現できるのは、これが要因の1つだ。
ここまで説明してきたのは主に有線イヤホンの構造。では、ワイヤレスイヤホンではなぜ音が発生するのだろうか。
ワイヤレスイヤホンは、有線イヤホンと音の出る部分の構造は同じ。有線イヤホンでは、音源が電流となってコードを通って音を出す部分まで届くのに対し、ワイヤレスイヤホンはBluetoothを使って音源のデータを飛ばしている。このデータをイヤホンがキャッチし、音を鳴らしているのだ。
よく聞くのが、「Bluetoothイヤホンは有線のものより音質が悪い」という説。これはBluetoothイヤホンが、音の出る部分に音源を飛ばす際、音源を圧縮して送るという工程が原因とされている。パソコンでデータを送信する際、圧縮したファイルを相手に届けると、文字化けしてしまう場合があるのをイメージしてもらうとわかりやすいだろう。逆に有線イヤホンであれば、この圧縮の作業を必要としないために、結果として音質がいいといわれるのだ。
近年は、Bluetoothの技術が発展し、無線で飛ばせるデータのサイズはどんどん大きくなっている。これに加え、イヤホンメーカーの技術発展により、Bluetoothでもハイレゾクラスに匹敵する音質のイヤホンも登場している。
ここからは、おすすめの高音質イヤホンを紹介していこう。
完全ワイヤレスでおすすめのイヤホンは、各価格帯に多くの製品を揃えているaudio-technicaの「ATH-CKS5TW」。硬度が異なる金属を振動版に採用し、迫力ある重低音とクリアな中高音を再現できる。最大15時間の連続再生が可能な大容量バッテリーを搭載し、シリコン素材の薄くて柔らかいイヤーピースに加え、3Dループを採用し、外れにくさにこだわった。
【参照】audio-technica ATH-CKS5TW
通常であれば金属が使われる振動版に、50µmまで薄くした軽量の10mmウッドドームを採用しているJVCの「HA-FW03」は、ハイレゾ対応のおすすめの有線イヤホンだ。木製の振動版は、弦楽器やピアノのような自然で美しい音の広がりを再現する。
音の出るドライバー部分も木製素材を採用したのは、見た目のインパクトだけでなく、不要な振動を抑制するため。ハイレゾ音源の豊富な情報量を忠実に表現し、心地よく繊細な音を耳に届けてくれるだろう。
【参照】JVC HA-FW03
※データは2020年2月下旬時点での編集部調べ。※情報は万全を期していますが、その内容の完全性・正確性を保証するものではありません。※製品のご利用はあくまで自己責任にてお願いします。
文/佐藤 文彦
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