就寝の少なくとも30分前には電子機器の電源を切り、入浴して、リラックスできる本を読み、瞑想してから、ラベンダーの香りがする洗いたてのシーツで眠りに着くのが理想的です。
しかし現実には、私を含むアメリカ人の約60%が、眠りにつくまでのこのプロセスにテレビを見ることが入っています。実は、テレビをつけたまま寝ることも悪習慣とされています。
寝室からテレビを撤去すべきだとか、もともと寝室にテレビを置かないようにすべきだという教えがありますが、今はストリーミングサービスのおかげでノートパソコン、タブレット、スマホでいつでもどこでも「テレビが見られる」時代です。
でも、テレビをつけたまま寝るのは、そんなに悪いことなのでしょうか。
自分以外の人のことはわかりませんが、私の場合、テレビをつけたまま眠りに落ちることが魅力的なのは不安やPTSDと大いに関係しています。
どれほど呼吸法のエクササイズをしても、山ほど退屈な記事を読んでも、眠りに落ちそうだと感じるやいなや、考えないほうが良いことを脳が次々に思い浮かべてしまいます。
締切、失敗、病気の友人や親戚、政治、どんな抗生物質も効かないスーパーバグ、不注意なメールで誰かを怒らせたらどうしよう、死んだら身体はどうなるのだろう、など。
日中は、生産性を高めるために封印していることばかりが脳裏をよぎります。
それから、深夜にPTSDのフラッシュバックで目覚めてしまうと、そうした生々しい映像を視覚的に別のもので置き換える必要があるので、お気に入りのテレビ番組で上書きしてしまいたくなるわけです。
Sleepopolisの最高研究責任者であるRose MacDowellさんによると、同じことが私以外の人たちにも言えるようです。
睡眠とメンタルヘルスの専門家たちから話を聞いたところ、テレビをつけたまま寝ることを推奨していないのは明らかです。
たとえば、プロの有資格カウンセラーであるRebecca Cowan博士は、精神衛生と相関するという理由で睡眠衛生の重要性を説いています。
さらに、テレビをつけたまま寝ると、熟睡を助けるホルモンであるメラトニンの生成が妨げられる可能性があります。
「専門家として見解を述べるなら、睡眠中にテレビをつけていても良いという状況は存在しないと思います」とCowan博士は言います。
同様に、Better Sleep Council の登録看護師であり睡眠の専門家でもあるTerry Cralleさんは、寝る前にテレビを見ると、たとえば、番組に夢中になり、眠らずにテレビを見続けるなどして、睡眠負債を増やす可能性があると説明しています。
また、睡眠中も脳が音を処理しているため、一晩中テレビをつけていると睡眠が乱れることがあると述べています。
さらに、『The 8-Hour Sleep Paradox』の著者であるMark Burhenneさんは、睡眠が深くなる前の段階で、脳はさまざまな声を認識して反応することもあるので、「その音声が、眠りが深くなったときに見る夢の内容に影響を及ぼすかもしれません」とLifehackerに語っています。
Burhenneさんは、テレビから出るブルーライトの問題も指摘しています。ブルーライトは脳に覚醒状態を維持させる信号になるので、深く眠れなくなるかもしれないからです。
もちろん、テレビをつけたまま寝るのは理想的ではありませんが、厳禁すべきだと誰もが思っているわけではありません。
たとえば、睡眠の研究に従事するJeanine Joy博士は、睡眠に関する推奨事項が発表される際は、個人差は考慮されていないとして、「誰にでも適するダイエットが存在しないのと同じように、誰にでも適する睡眠の取り方は存在しません」と語っています。
つまり、テレビをつけたまま寝ることが適している人もいるということです。
Joy博士によれば、朝早い時間に屋外に出て、どこかの時点でエクササイズをすると、テレビから出るブルーライトはサーカディアンリズムを乱すほどの影響を及ぼさないこともあり、テレビをつけたままのほうが消したときより安眠できることもあります。
そのため、Joy博士は、睡眠アクティグラフィーを使って、テレビをつけたまま寝たときの睡眠の質をチェックすることを推奨しています。
その結果、良く眠れていることがわかれば、テレビをつけたまま寝ても構いません。もちろん、パートナーが嫌がらない限りはですが。
実際、Joy博士はテレビをつけたまま眠ることの利点をいくつも指摘しています。たとえば、犬の吠える声、サイレン、隣人が喧嘩する声、銃声など、屋外の雑音をブロックできます。
同様に、Kansas-Sleepの睡眠科学の認定コーチであるEva Cohenさんは、PTSDなどのメンタルヘルスの問題を抱える人は、テレビがついているとフラッシュバックから気をそらす助けになることもあると言います。
とは言え、Evaさんもほとんどの専門家と同じように、就寝時間の2時間前からテレビを見ないようにして、より良い対処メカニズムを見つけるためにセラピストに相談した方が良いと力説しています。
では、テレビをつけたままでないと絶対に眠れないし、別のやり方を試す気もない人はどうしたらいいのでしょうか。
そんな人たちのために、今回話を聞いた専門家の中には、夜間にブルーライトを遮断するメガネの着用を提案する人もいます。
これは理屈では正しいことかもしれませんが、ブルーライト遮断メガネは実際にはあまり効果がなく、アメリカ眼科学会も推奨していません。
別案として、Cralleさんは、テレビのスリープタイマーをセットすることをすすめています(理想は30分、最大1時間で電源が切れるようにセットしましょう)。
また、寝る前にどんな番組を見るかも考慮したほうが良いと言います。
では、テレビがなくても眠れるようにしたい場合に、テレビの代わりに効果を発揮するものは何でしょう。
Joy博士は、ヘッドフォンでバイノーラルビートを聴くことが好きだそうです。まだ十分な研究はされていませんが、2018年に発表された小規模な研究で、バイノーラルビートが睡眠の質を向上させることがわっています。
Cowanさんのようにサウンドマシンやリラックスできる音楽を聴きながら寝ることを推奨する人たちもいれば、Cralleさんのように、オーディオブックやポッドキャストを聴くと眠れる幸運な人たちもいるようです。
Cohenさんは、音声に頼らず、就寝前にフィクションを読んでビビッドな想像を巡らすことを推奨しており、「こうすることで、自分の感情を表現しやすくなり、ストレスレベルを下げることができるでしょう」と話しています。
テレビをつけたまま寝るとテレビが常夜灯の役目を果たす点にも魅力を感じているなら、ユーザーのサーカディアンリズムを反映するスマート電球(GEからこのような製品が出ています)や照明点灯アプリなどの、睡眠時用の新しい照明について調べることも一案です。
ここでご紹介したことをある程度試行錯誤すると自分に最適な睡眠システムが見つかるかもしれません。
結果的に、テレビをつけたままでないとどうしても眠れないとわかったら、睡眠の質に影響が出ない限り、気にせずこれまで通りテレビをつけたまま寝てください。
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Image: Shutterstock
Source: Sleepopolis, Prnewswire, Becoming Minimalist, Better Sleep, Amazon, Very Well, Kansas Sleep, AAO, NCBI, Cby GE, Sleep
Elizabeth Yuko – Lifehacker US[原文]
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