ホームシアターには、サウンドバーなどの手軽なシステムから単品のスピーカーやAVアンプで構成する本格的なシステムまでさまざまなスタイルがある。本格的なシステムが複数の機器(特に後方や天井のスピーカー)を設置することが難しいため敬遠される傾向があるのに対し、Dolby Atmosのようなイマーシブオーディオと呼ばれる最新の立体音響に対応したサウンドバーでは、オプションでリアスピーカーの増設ができるモデルも増えている。単品コンポによる本格的なシステムはおおげさと感じるのは昔から変わらないが、手軽に使えるサウンドバーでは満足できず、手軽さと本格的な立体音響の両方を求めている人が増えているのだろう。
そんなあなたのためのホームシアター機器が誕生した。それがソニーの「HT-A9」(実売約22万円)。4本のワイヤレススピーカーとコントロールボックスのセットとなるホームシアターシステムだ。ワイヤレススピーカーは今や手軽なオーディオとしても人気の高いアイテムで、スマホ用の小型スピーカーをはじめ、Wi-Fiに対応し動画配信サービスやハイレゾ再生にも対応できるような本格的なワイヤレススピーカーもある。
もちろんホームシアターでも、5GHz帯の無線電波を使用して、最大8chの信号を非圧縮で伝送できる規格「WiSA」があり、いくつかのメーカーから対応するスピーカーなどが発売されている。各スピーカーに電源を接続する必要はあるが、スピーカーごとに配線を引き回す必要がないので、リビングなどに設置するときのハードルはかなり低くなる。まだ生まれたての規格だが、これはなかなか期待できそう。
そんな状況で、ソニーはワイヤレススピーカー4台で最大12chの仮想スピーカーを再現する「360 Spatial Sound Mapping」という独自の技術を開発し、HT-A9というシステムに搭載した。最大12chだから、Atmosならば7.1.4ch構成の再生が可能。サラウンド再生のチャンネル数としても十分だ。しかもホームシアターシステムとして、4本のワイヤレススピーカーとコントロールユニットのセットとして商品化しているので、製品選びなどで頭を悩ませる必要も無いし、各スピーカーは出荷時点でペアリング済み。つまり、それぞれを電源につなぐだけでOKという簡単な使い勝手まで実現してしまった。これはまさしく画期的な新技術だ。さっそくその実力を試してみることにした。
ソニー「HT-A9」4本のスピーカーとコントロールボックスで構成されているナビゲーションリスト
4本のワイヤレススピーカーで、最大12chのサラウンド再生を実現カテゴリー
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