頭の悪いメカ by 藤原麻里菜
ものづくりラボ
by 藤原 麻里菜
2018/11/22 07:30
パーソナル・ファブリケーション電子工作Arduinoツイートシェア▼私はイヤホンを丸めてポケットに入れておくのですが、取り出すとだいたいケーブルが複雑に絡み合っています。結び目が何個もできていて知恵の輪のよう。私のポケットの中で何が起きているのだ……。
イヤホンケーブルの絡まりストレスはかなり深刻です。たぶん、マンボウだったら、このストレスで死ぬ。なので、イヤホンケーブルが絡まないようにするアクセサリー的なものを買おうと、電気屋さんに行ったのですが、想像していたよりもはるかに多くの種類のそれが売っていました。あのストレスに人類は立ち向かおうとしている……。
イヤホンが絡まったとき、「いっそのこと引きちぎっちゃおうかな」と思いながらも丁寧に一つ一つほどいていくのですが、ほどき終わると何だかすっきりとした清々しい気持ちになります。秋の夜風のような、心がスーっとする感じです。問題を抱えている状態にはストレスを感じるけれど、解決したら格別な喜びがあるのです。
イヤホンの絡まりストレスをなくすグッズはこの世にたくさんある。なので、私はイヤホンを絡まらせるマシーンを作ります。
マシーンを設計するにあたって、「なぜイヤホンが絡まるのか」をgoogleで調べました。物理学者の研究によると、ケーブルの長さと攪拌(かくはん)の作用ということでした。これが、ひも理論ってやつか。
なので、球体の中にイヤホンをまとめて入れて、モーターで攪拌させる方法で作っていこうと思います。
攪拌部分ですが、ギヤードモーターをArduinoというマイコンで制御します。ギヤードモーターとは、パワーがあるモーターです。原理とかはよく分かんねえけど、なんかすげえパワーがある。
球体は東急ハンズで売っていたプラスチックのものを使います。加工しやすくて最高です。
角材などをいい感じに組み立てていきます。
球体の支柱とイヤホンをまとめるパーツを3Dプリンターで出力しました。
球体のぐらつきをこの支柱で抑えたかったのですが、私は測量能力がゼロなので、高さが合いませんでした。
Arduinoのほうは最終的にこんな感じに。スイッチとLEDなどを付け足しました。スケッチは、「ボタンが押されたらLED(赤)が点灯してモーターが正回転と逆回転を繰り返し、LED(赤)が消灯。LED(緑)が点灯」という組み方にしました。
このマシーンを作るにあたって、イヤホンケーブルをいい感じに絡ませるために、1日かけて研究しました。いろんな容器にイヤホンを入れ、さまざまな絡ませ方を試しました。そこで、同じ方向に回転しているだけではイヤホンケーブルを絡まらせることはできないということに気付きました。回転の方向を変えることで、より複雑にイヤホンケーブルを絡ませることができるのです。イヤホンケーブルを絡まらせたい方は参考にしてください。
ケースにArduinoを収納し、フタ部分に穴を開けてスイッチとLEDを接着します。今回使う箱は、100円ショップ「セリア」で売っていたギャラリーケースです。加工しやすい木でできていて、プラ板のふたをスライドして中身を入れる仕組みになっています。
プラ板の加工は、はんだごてで溶かすことにしました。私は超音波カッターなんて高尚なものを持っていないので……。はんだごてでプラスチック製品を溶かすとマジで“死”を感じさせる工業的な匂いがするのですが、この商品はすごくいい香りがしました。甘いパンケーキみたいな匂いです。ダイエット中にパンケーキが食べたくなったら、このプラ板をはんだごてで溶かそーっと。
そして、ついに完成しました。「イヤホンケーブルを絡ませるマシーン」です。
排水溝のぬめり取りが取り出し口になっています。ちょうどハマったのです。
スイッチはこちら。LEDが点灯します。
なんかすごくカッコいいプロダクトっぽくないですか。スペースエイジ感ありませんか。未来の家のベッドサイドにありそう。
使いましょう。ちゃんと絡まってくれるかなあ……。どきどきです。
排水溝に手を突っ込んでまとめたイヤホンを入れます。
スイッチオン。
ガタガタガタ。
ガタガタガタ。回っていますね。私、コインランドリーで回っている乾燥機を見るのが大好きなのですが、それと同じ感じがあります。癒やし。
待ち方がコインランドリーと同じようでした。
終わったら緑ランプが点灯して教えてくれます。
果たして、イヤホンケーブルは絡まってくれているのでしょうか……。
かなり絡まってくれていました。そして、この表情です。
動画だとさらに絡まり具合がわかります。
イヤホンケーブル、絡まりましたね。私はイヤホンを人工的に絡ませることができたという、すごい功績を人類史に残してしまいました。ノーベル賞欲しいなあ。いや、それよりAirPodsのほうが欲しいなあ。
カテゴリー
関連記事
ホット記事