2020年秋発売のiPhone 12シリーズでは、純正イヤホン「EarPods」が省かれています。でも大丈夫。代わりに、さまざまなタイプのイヤホンで音楽や映画を満喫する方法を紹介します
10月、11月にかけて相次いで販売が始まった「iPhone 12」「iPhone 12 mini」「iPhone 12 Pro」「iPhone 12 Pro Max」に新調した方も大勢いらっしゃると思います。歴代のiPhoneを使ってきた人は、かなりスリムになった商品パッケージに驚いたのではないでしょうか。
製造・物流時に発生する二酸化炭素の排出量を削減して環境保護をさらに推し進めるために、多くのiPhoneユーザーがすでに持っていると思われる「イヤホン」と「USBアダプタ」が同梱品から省略されることになったのです。
アップルの純正イヤホン「EarPods」は、ポータブルオーディオプレーヤーの「iPod」、ならびに初代のiPhoneからずっとパッケージに同梱されてきました。その純白のイヤホンは、iPhoneやiPodのユーザーであることの象徴ともいえるデバイスでした。現在は、アップルの「AirPods」をはじめとするBluetooth対応のワイヤレスイヤホンの人気に押されがちですが、筆者が覚えている限り、数年前までは白いアップル純正イヤホンを耳元から下げて音楽を聴いたり、映画やゲームのサウンドを楽しむユーザーの姿をそこかしこで見かけたものです。
2016年の秋に発売されたiPhone 7/iPhone 7 Plusから、3.5mmのアナログイヤホンジャックが省略され、EarPodsはLightning端子に直結して音楽を聴くデジタルイヤホンになりました。従来のアナログイヤホンも使えるように、アップル純正のアクセサリーとして「Lightning - 3.5mmヘッドフォンジャックアダプタ」もiPhoneのパッケージに同梱されていた時期もありましたが、2018年発売のiPhone XS/iPhone XS Max/iPhone XRから省かれています。
イヤホンが同梱されていれば、iPhone 12を買ってすぐに音楽を聴いたり、YouTubeなど動画コンテンツの音声が楽しめるので安心です。一方では筆者のように、EarPods以外にお気に入りのイヤホンやヘッドホンを見つけているユーザーの場合、iPhoneを買うたびに使わないEarPodsが増えていくことがもったいない…と感じていました。今回のアップルの判断は賢明だと筆者は思います。
EarPodsは、耳に乗せて装着する「インナーイヤータイプ」と呼ばれるイヤホンです。本体のハウジングに音抜けを良くするための小さな孔が設けられているため、その独特な透明感のあるサウンドや、耳を塞がない装着感の心地よさが気に入っているという人も、筆者の周りにたくさんいます。
2020年11月末現在、Apple StoreではEarPods with Lightning Connectorが2,000円(税別)で販売されています。iPhoneに付属しなくなるだけで、販売は今後も続くものと思います。現在愛用しているEarPodsが壊れた場合に備えて、懐に余裕のある時にバックアップとして1台買い置きしてもよいかもしれません。
あるいはこの機会に、いま注目されているワイヤレスイヤホンに買い替えるという選択もアリです。アップルのAirPodsシリーズは、アクティブ・ノイズキャンセリング機能を搭載する上位のAirPods Proが27,800円(税別)、レギュラーモデルのAirPodsが17,800円(税別)で販売中です。
上位のAirPods Proは、アップルの動画配信サービス「Apple TV+」で公開されているオリジナル作品など、一部ビデオコンテンツで立体感あふれるサラウンド再生が楽しめる新技術の「空間オーディオ」に対応。iPhone 12シリーズと組み合わせれば、迫力のあるサウンドが楽しめます。
AirPodsシリーズは2機種とも、同じユーザーのApple IDでサインインしているiPhone/iPad/iPod touch/Macの間で、コンテンツの再生と同時に自動的に接続を切り替えてくれる、とても便利なオートスイッチング機能に対応しています。
これら技術の先進性を考えれば、AirPodsシリーズは新しいiPhone 12シリーズの相棒として使いたい“買いのイヤホン”の最右翼といえます。ですが、やはりそれなりに高価であるため、尻込みしてしまう気持ちもよく分かります。
アップル以外のメーカーに目を向ければ、左右独立型の完全ワイヤレスイヤホンは1万円以下で購入できる良質な製品がたくさんあります。iPhone 12シリーズと同日に発売されたGLIDiCの「Sound Air TW-5100」は、イヤホン本体・充電ケースともにAirPodsシリーズに匹敵するコンパクトサイズが魅力。本体はIPX4相当の防水対応なので、スポーツシーンやキッチンなど水を使う場所でも安心です。
Apple Storeなどでは、アップル純正の3.5mmヘッドフォンジャックアダプタが1,000円(税別)で引き続き販売されており、こちらを手に入れて3.5mmアナログイヤホン端子を搭載する有線イヤホンをつないで楽しむ方法もあります。
有線イヤホンの場合、Bluetooth接続のワイヤレスイヤホンが課題としている音声信号の伝送遅延に悩まされないこともメリットに挙げられます。iPhoneでゲームを楽しむ際、画面の動きや操作に対して遅延なく効果音が聞こえてきます。新しいiPhone 12シリーズでアクションゲームや動画を中心にエンターテインメントを満喫したい人は、EarPods with Lightning Connector、またはその他の有線接続のイヤホン・ヘッドホンが使える環境も整えておきましょう。
iPhoneが5Gに対応したことで、映像・音楽配信のリッチコンテンツの配信サービスが年末以降にますます充実することでしょう。
昨年秋に国内でもサービスが始まった、アップルオリジナルの映像作品を揃える「Apple TV+」は、iPhone 12シリーズのパフォーマンスを最大限まで発揮できる画質・音質のコンテンツが充実。AirPods Proのユーザーはぜひ、イヤホンを装着している顔の向きに追従して音像定位がリアルタイムに変わる「ダイナミック・ヘッドトラッキング」の迫力も味わってほしいと思います。トム・ハンクス主演の映画「グレイハウンド」や、SFファンタジードラマの「See~暗闇の世界~」あたりが、空間オーディオの迫力が存分に楽しめるおすすめコンテンツです。
Apple TV+の動画配信サービスは、iPhoneやiPad、Macなどアップルのデバイスを新規に購入後、初めてサブスクリプション登録を済ませてから1年間無料でお試し視聴ができます。昨年から視聴を開始しているユーザーは、無料期間を2021年2月まで延長提供しています。
Apple TV+のほかにApple Music、ゲーム配信のApple Arcade、50GBのiCloudストレージをバンドルして月額1,100円(個人プラン)から利用できるApple Oneもスタートしました。
2020年春の5Gサービスの導入に合わせて、NTTドコモとauはユーザーが使えるデータ容量に制限を設けないプランを設けました。ソフトバンクにワイモバイル、UQモバイル、楽天モバイルなどの通信会社も、毎月大容量のデータをお得に使える料金プランを充実させてきたので、音楽・映像配信のコンテンツやYouTubeがデータ容量の消費を気にせず使い倒せるようになりました。
環境が整ってくると、“ギガ”を食うリッチコンテンツの配信エンターテインメントもiPhoneで気兼ねなく楽しめるようになります。筆者はApple Musicのほかにも、CDクオリティ以上の高音質な音源を多数揃える「Amazon Music HD」の音楽配信サービスに登録して聴き比べを楽しんでいます。
米国では、Appleがミュージックビデオの24時間ノンストップ配信サービス「Apple Music TV」をローンチしました。5G対応のiPhone 12が活きるサービスが日本国内でもますます充実すれば、いいイヤホン&ヘッドホンが欲しくなるはず。年末年始のキャッシュレス決済各社の還元キャンペーンを利用し、購入を検討するのもよいでしょう。
ジャーナリスト兼ライター。オーディオ・ビジュアル専門誌のWeb編集・記者職を経てフリーに。独ベルリンで開催されるエレクトロニクスショー「IFA」を毎年取材してきたことから、特に欧州のスマート家電やIoT関連の最新事情に精通。オーディオ・ビジュアル分野にも造詣が深く、ハイレゾから音楽配信、4KやVODまで幅広くカバー。堪能な英語と仏語を生かし、国内から海外までイベントの取材、開発者へのインタビューを数多くこなす。
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ついにiPhoneの箱から消えた“白いイヤホン” Lightning版EarPodsは引き続き2,000円で販売中 最高の組み合わせはやはりAirPods。1万円以下で良い製品も見つかる 5G対応のiPhoneはリッチな映像・音楽エンターテインメントと相性抜群カテゴリー
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