体組成データが計測できるスマートウォッチ「Galaxy Watch4」を購入して約2カ月。フィットネス向上に効果があったのか、役立つ機能が見つかったのかなどロングランチェックの成果を紹介します
まずは体組成データの計測機能から、手応えをお届けします。結論から言えば筆者が期待していた通りに、一歩踏み込んだフィットネスチェックをスマートウォッチで実現できる機能に満足しています。
測定結果は、連携する「S Health」アプリに集まるデータをもとにグラフ化されます。たまに計測を忘れたり、ウォッチを毎日身に着けていなくても、31日間の動向を振り返れば、傾向は大まかにつかめます。
筆者も成果を振り返ってみたところ、体脂肪量、および体脂肪を減らして、骨格筋を増やすことができているようで安心しました。
各体組成データの詳細は、アプリに収録されている説明を読めば、内容を理解して自己評価できます。
S Healthアプリには筋肉量を増やしたり、脂肪を減らすための実践に役立つ無料の「エクササイズ動画」がそろっています。日本語の音声ナビゲーションも付いてくるので、正しいエクササイズ方法に従って、飽きることなく身体を動かす習慣が身につけられました。
トレーニングを続けるうちに、少しずつ自分の身体のバランスが整っていく手応えがアプリを通じて“見える化”されるので、モチベーションを維持できます。
Galaxy Watch4の課題は、体組成データを計測するために不可欠な基準データとなる「体重」を、腕時計だけでは量れないことです。
そのため、計測を始める前に体重計に乗って、確認した体重を手入力する必要があります。最初はこれを面倒に感じたものの、今では毎日の風呂上がりに体重計に乗る習慣が身に付いたことを、ポジティブに受け止めています。
Galaxy Watch4には血中酸素レベルやストレス、睡眠サイクルなどユーザーの健康管理を助けるさまざまな機能が搭載されています。それぞれ、ユーザーの健康に対する関心に多彩な角度からフィットする計測機能は使い勝手もよく、完成度はとても高い印象です。
でも一方では、Galaxy Watch4にはベーシックなメニューだけでもかなり沢山の機能が詰まり過ぎているので、スマートウォッチやフィットネスバンドを初めて使うユーザーは面食らってしまうかもしれません。
すべての機能を最初から使いこなすことは誰にとっても難しいでしょう。まずは自分が必要とする機能から慣れ親しみつつ、徐々に他の役に立ちそうな機能にも手を伸ばしていくことをオススメします。
Galaxy Watch4は、ユーザーのフィットネス・ヘルスケアを間接的にサポートする機能も充実しています。
そのひとつは、スマホに保存している音楽ファイルを「Galaxy Wearable」アプリからウォッチに転送して聴ける音楽プレーヤー機能です。筆者が購入した44ミリケースのGalaxy Watch4には、16GBのストレージが内蔵されています。
ここにMP3/AAC/WAVなどのオーディオファイルを転送してから、Galaxy Watch4にBluetoothヘッドホン・イヤホンをペアリングすると、音楽再生が楽しめます。スマホを持たずに、スマートウォッチとワイヤレスイヤホンだけで身軽にワークアウトへ出かけられます。
サードパーティーの音楽サービスも、Spotifyのお気に入りプレイリスト、マイライブラリに登録したアルバム情報などが、スマートウォッチ版とスマホ版との間で、ユーザーのアカウント情報にひもづいて同期されます。
好きな楽曲をプレイリストにまとめてストリーミングしながら聴いたり、スマートウォッチにキャッシュしてオフラインでも聴けるので、とても便利です。
Google Playストアには「健康・フィットネス」系のアプリも充実しています。例えばGoogle Fitをダウンロードして、Galaxy Watch4にもプリインストールされている心拍測定、呼吸エクササイズを慣れたほうのアプリで日々実践するという選択ができます。
睡眠サイクルを計測できる定番アプリ「Sleep Cycle」や瞑想アプリの「Calm」、心拍のリアルタイム測定に対応する「Cardiogram」など、Wear OS対応アプリを上手に使いこなせば、Galaxy Watch4でかなり充実したフィットネス管理ができると思います。
Galaxy Watch4にはWebブラウザがプリインストールされています。ブラウザからYouTubeにアクセスすると、スマートウォッチで動画も見られます。
筆者は以前から、ジョギングしながらお気に入りのYouTubeのトーク番組で音声だけを聴きたいと考えていたので、Galaxy Watch4のこの機能がまさにおあつらえ向きでした。が、動画のキーワード検索などインターフェースがスマートウォッチに最適化されていないため、実際にはものすごく使いづらくて断念してしまいました。
グーグルとサムスンには、スマートウォッチでも楽しめるキラーコンテンツとしてYouTube対応を積極的に押し進めて欲しいと思いました。使いやすいインタフェースに仕上がれば、インターネットに常時アクセスできるセルラー(モバイル通信対応)版Galaxy Watchの人気も高まりそうです。
さて、Galaxy Watch4はバンド交換が簡単にできるスマートウォッチです。筆者は本体に付属するバンドが手首のサイズにぴたりと合わせにくかったため、体組成データや血中酸素濃度を計測するときなど、センサーの位置がズレて何度もやり直していました。
Amazonで検索したところ、Galaxy Watch4に対応するサードパーティの様々なバンドがそろっていたので、長さ調節もできるストレッチ性の高いナイロン製のバンドに交換しました。外観のカスタマイズと合わせて楽しみたいユーザーにもおすすめです。
文字盤はサードパーティのものも含めて、まだ納得できるデザインに出会えていません。Google Playストアに「人気のウォッチフェイス」もあるのですが、どれもひと世代古い感じがするものばかり。
今後グーグルとサムスンが手を組んで開発する「WearOS Powered by Samsung」が、フォッシルをはじめとするライバルメーカーのスマートウォッチにも受け入れられていけば、新しい文字盤やアプリも再び充実してくるのでしょうか。動向にも注目しながら、引き続きGalaxy Watch4を使い続けてみようと思います。
やまもとあつしジャーナリスト兼ライター。オーディオ・ビジュアル専門誌のWeb編集・記者職を経てフリーに。独ベルリンで開催されるエレクトロニクスショー「IFA」を毎年取材してきたことから、特に欧州のスマート家電やIoT関連の最新事情に精通。オーディオ・ビジュアル分野にも造詣が深く、ハイレゾから音楽配信、4KやVODまで幅広くカバー。堪能な英語と仏語を生かし、国内から海外までイベントの取材、開発者へのインタビューを数多くこなす。
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