先月発売されたiPhone 13 Pro最大の特徴はカメラ性能が進化したことです。
iPhone 13 Proのカメラはどのように進化したのか、今回はスチル写真に注目して作例とともにレビューしていきます。
画質が大幅向上、マクロもできる超広角カメラが進化の目玉
まずは超広角カメラから見ていきましょう。
今回、iPhone 13 Proの超広角カメラは1.92倍多くの光が取り込めるようになり画質が向上しました。
ダイナミックレンジは広く、明暗差の激しいシーンでもシャドーが潰れることなく描写されています。特に超広角カメラでは屋外で撮影した場合、太陽が入る構図になりやすいので嬉しい改善点です。
F値が2.4から1.8へと小さくなったことに伴って被写界深度が浅くなったため今までピント固定式だったものがオートフォーカスに対応。さらに焦点距離が小さいのを生かして最短撮影距離が2cmとなったためマクロレンズ的な使い方も可能になりました。
ただこのマクロ機能、iPhoneの影が映り込みやすいのが課題です。
内部構造の制限なのか、超広角カメラは一番内側に配置されています。そのため被写体に近づくと影が入りやすく、光源の方向やカメラを向ける向きなどに配慮しなければなりません。影が入らないように斜めからの撮影をすると四隅のピントが合わず、周辺が流れたような画作りとなるため、積極的に使う意欲が削がれます。
また、手ブレ補正がないことも気になります。超広角カメラはナイトモードに対応しているものの、手ブレ補正がなくその効果は控えめ。画角が広いほどセンサーシフト式手ブレ補正が効きやすいし、ナイトモードもより強力なものとなるので設計が許せば搭載してほしいものです。
文句の付け所がない広角カメラ
一番頻繁に使うと言っても過言ではないのが広角カメラです。
広角カメラはF値とセンサーの改善で取り込む光の量が2.2倍に、イメージセンサーの画素ピッチは1.7μmから1.9μmと大きくなりました。(ちなみに1インチセンサー搭載のAQUOS R6の画素ピッチは2.4μm)
これにより、1200万画素と画素数は少なめなのに非常に解像感の高い写真が撮れます。
また、センサーサイズが大きく、F値が小さくなったためポートレートモードでなくともそこそこボケます。LiDARセンサーを生かしたナイトポートレートはProモデルの特権ですが、これぐらいしっかりボケてくれればあまり出番はなさそうです
あなたのプライバシー設定では、このコンテンツをご利用できません。こちらで設定を変更してくださいまた、暗所性能も良くなっています。三脚に固定することで最大30秒のナイトモードが起動し、Pixelの天体モードには及ばないものの満天の星空を写すことも可能です。
メインの広角レンズはiPhone史上最強で文句の付け所のないほど高クオリティです。強いて言えば新たに搭載されたセンサーシフト式手ブレ補正がX軸、Y軸の2軸しか補正してくれず、ヨー、ピッチ、ローの3軸はブレやすいところですが、従来のものより劣っていることはなかったので問題はありません。
広角カメラと同レベルの画質で風景を切り取れる望遠カメラ
望遠カメラは2倍(35mm判換算52mm)から3倍(35mm判換算77mm)になりました。カメラ好きには50mm単焦点から24-70mmの便利ズームテレ端になったといったほうが伝わりやすいでしょうか。
F値は若干暗めのF2.8。(ちなみにXpeira 1 Ⅲは70mmでF2.3)F値は望遠になればなるほど大きくなるので大きな空間がとれないノンペリスコープ望遠カメラとしては悪くない値です。
この望遠カメラ、非常に楽しいです。
筆者ははじめて望遠カメラがついているスマホを使ったのですが、ふと見つけた風景の一部を切り取ることがスマホでできるのが面白いです。
今回、画角が2倍から3倍(35mm判換算77mm)になったことでポートレート写真でよく使われる90mmの画角と近い感覚で使えます。被写体との距離感がちょうどよく、屋外でのポートレートモードとの相性が非常にいいです。
あなたのプライバシー設定では、このコンテンツをご利用できません。こちらで設定を変更してくださいいままで無印モデルを購入していた方にはぜひ一度体験してみてほしいです。
注意点としては遠くのものを引き寄せる用途には向かないこと。iPhone 13 Proの望遠は3倍しかないのでちょっとした風景切り取り系のスナップには最適ですが、「ペリスコープで光学10倍ズーム!」といったAndroidスマホには勝てません。
また、屋内など狭い空間では3倍は狭すぎて使いにくいです。屋内でのテーブルフォトはメインの広角レンズを使うことをオススメします。
フォトグラフスタイルで好みの色に調整可能に
iPhone 13 Proで新たに追加されたフォトグラフスタイルは一言でいうと自然に色味を変える機能です。
A15 Bionicでレイヤー化された状態で色温度、コントラストの調整ができるようになり、写真が大きく破綻することなく自分の好みの仕上げにできます。
この機能ですが、個人的にはほとんど使いませんでした。というのも起動がめんどくさいからです。
フォトグラフスタイルを使うには
の手順が必要です。一枚一枚調整していると撮影のテンポが非常に悪くなるので、Apple ProRAWで撮影して後日時間があるときにじっくりRAW現像で好みに仕上げるほうが私のスタイルにフィットしました。
とはいえ、「RAWファイルは非常に重くて嫌だしいちいちRAW現像するのが面倒だ」という人にはおすすめできる機能です。特にiPhoneの場合は夜景の色温度が高い傾向にあるので夜景撮影時はフォトグラフスタイルで冷たい雰囲気にすると簡単にかっこよく仕上げられそうです。
より明るく見やすくなったディスプレイ
iPhone 13 Proのディスプレイは最大輝度1000ニトとiPhone史上最も明るくなっています。(iPhone 12無印は625ニト、iPhone 12 ProとiPhone 13無印は800ニト)
iPhone 12 miniを使っていたときは真夏の撮影で画面が見えないことが多々ありましたが、iPhone 13 Proはカンカン照りでもディスプレイがそこそこはっきりと見えるので構図がとりやすく撮影が非常にはかどりました。
機能はProらしいがUIが追いついていない
iPhone 13 Proのカメラ最大の問題はUIだと感じます。
iPhone 13 ProはスチルはApple ProRAWやフォトグラフスタイル、ビデオはシネマティックやProRes、ドルビービジョンHDRといったプロ向けの機能が搭載されています。
PRもプロに向けたものが多く見られるものの、カメラアプリのUIが旧態依然の大衆向けのままであり、多機能になった今非常に使いにくいです。
最たる問題は「勝手にレンズ切り替わる問題」でしょう。
いままでのiPhoneは光量によって望遠でも広角レンズでデジタルズームしたものになることがありましたが、iPhone 13 Proは超広角レンズにマクロ機能がついたことでどの状態でも被写体に近づくと勝手に超広角レンズに切り替わります。
しかし、切り替わったことを示すのは僅かな画質・画角の変化のみでアプリ上に明示されることはありません。これが非常に曲者で、撮影時に集中していないと意図せず画質の悪い状態になっていることが結構あります。
なお、この問題に対してAppleは修正を約束しています。「発売当初はPhotography ProがなかったXperia 1 Ⅱ、ガラス面にピントが合う仕様だったAQUOS R6のように、とりあえず未完成品を出して後からアップデートで対応するのはAndroidスマホがやることで天下のApple様はそんなことはしない!」という思いがどこかにあったのですが、そんなことはなかったです。
また、各種機能の場所がわかりにくいのも問題の一つです。現状は
となっていますが、iPhone 13 Proのサイズは片手操作では上部に手が届かないのでこれらはもう少し整理されてもいいと思います。特にマクロモードは意図して使っても問題ないと思うので専用の項目を用意すべきですし、それがなくともせめて今なんのレンズが使われているかを画面上に明記すべきです。
自動でマクロモードになるのは自動でナイトモードになるのと同じで誰でも意図せず簡単にきれいな写真が撮れるようになっているためでしょう。しかし、ProシリーズはAppleの広告を見るに写真、映像のプロでも使えるようにしたモデルのはずです。本当にプロに使ってほしいのならばAppleは既存のUIに後から新機能を追加改修した現状のカメラAppを一新し、SonyのPhotography Proのような各種機能を思い通りに操作できるプロ向けUIも用意されるべきだと思います。
まとめ:着実に進化している最高峰モデル、だがまだ詰めが甘い
iPhone 13 Proはどのカメラでも撮れる写真のクオリティは高く、さすが業界をリードするAppleだと感じました。特にセンサーサイズが大きくなりAFにも対応した超広角カメラ、2倍から3倍に変更された望遠カメラの進化はすさまじく、3つのカメラ全てのレベルが揃いつつあって使いやすく仕上がっています。
一方で、プロ用の機材としては少し疑問が残ります。特に使うレンズが指定できない、勝手にレンズが切り替わるのは思い通りの操作ができず好ましくないです。
iOS 15ではようやくデフォルトの写真AppでEXIFが見れるようになりました。カメラAppも今後のアップデートでより使いやすいアプリに仕上がることに期待です。
最後にiPhone 13 Proで撮影した作品をご紹介して終わりにします。
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