Netflixの歩み。'99年に宅配DVDレンタルをスタートし、2002年にIPO(株式公開)、2007年に映像ストリーミングを開始した
以前の記事や西田宗千佳氏のコラムでも紹介済みだが、Netflixは米国およびグローバルで最大手と呼べる映像配信事業者で、定額制の映像配信(SVOD)を行なっている。テレビやゲーム機、スマートフォン、パソコン、STBなど、Netflixアプリを搭載したデバイスからストリーミングで映像再生できる。
定額制で月額料金(アメリカの場合、最も安いプランで8.99ドル)を支払うと、膨大なカタログの中から好きなものを、好きなだけ視聴できる。YouTubeのような“広告”型、iTunesのような「購入」(EST:Electric Sell Through)型でもなく、「定額」型のため、「見なければ損、見ない理由がないモデル」(マイアー氏)とアピールする。
YouTubeやiTunesとの違いは「定額制」もっとも、消費者から見れば、日本におけるHuluやdビデオのようなSVODサービスと、基本的には近しいものだし、海外にも多くのSVODサービスがある。何がNetflixを抜きん出た存在としているかといえば、やはり“規模”だ。現在、2014年第4四半期における全世界での利用者数は5,740万契約で、2015年第1四半期には6,140万契約と予測している。サービスの中心は米国で過半数を占めているが、2010年のカナダを皮切りにグローバル展開を加速しており、今後の拡大はグローバル展開の成功如何となっている。その一環として日本進出するというわけだ。
加入者数は6,000万に迫るNetflixは加入者数が多いだけでなく、実際の利用率(アクティブ率)も高く、1ユーザーあたり、月平均35~40時間視聴されているという。1日あたり1時間強で、これは米国のテレビ視聴率の25%に相当する数値とのこと。そのためネットワーク事業者への負荷も相当なもの。全世界でAmazon Web Service(AWS)をインフラとして利用しているが、米国の全ネットトラフィックを見ても、夕方のプライムタイムの時間帯のダウンストリームトラフィックの30~35%がNetflixと言われている。そのため、効率的な配信システムのチューニングを常に行なっているという。
「映像配信の巨人」といえるNetflixの規模についてはお分かりいただけたと思う。しかし、米国でのサービス開始以来、日本参入まで約5年の時間がかかっている。その理由は何だったのだろうか?
Netflix ハードウェアパートナーエコシステム担当バイスプレジデントのスコット・マイアー氏。25年前に東芝の米国法人でMRIのソフトウェア開発に従事していたというマイアー氏によれば、「日本市場に参入するまで、様々な国で様々なことを学んだ。必ずしもハリウッドコンテンツだけが求められるわけでなく、ローカルコンテンツ(当該地域のコンテンツ)も必要な市場もある。コンテンツの歴史やメディアの歴史、それぞれの国ごとに学習しなければいけない。それだけ準備しないと難しいマーケットと言える」と、日本特有の事情について言及した。
日本のコンテンツ展開については「詳細はまだ明かせない」としながらも、「我々は40以上のオリジナルなコンテンツを持っているほか、素晴らしいローカルコンテンツも求めている。日本やハリウッドで調達する“アーカイブ”だけでない、“特別な”コンテンツを用意している」と、日本でもNetflixの独自コンテンツを用意することを明言した。
また、Netflix独自制作の「Marco Polo」、ウォシャウスキー姉弟制作の「Sense8」、マーベル原作「Daredevil」などは、日本参入時に配信予定。しかも、4Kで配信するとしている。
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