スマート医療秘書サービス「kanata!」は、「1.音声認識による会話のテキスト化」「2.自然言語処理によるテキストの要約(サマライズ)」「3.RPA(Robotic Process Automation:業務自動化ツール)による自動入力」の3ステップで電子カルテ入力作業の負担を大幅に軽減します。
診察室での医師と患者の会話を音声認識によってテキスト化し、そのテキストの内容を自然言語処理によって分析します。さらに、会話の中から主訴や診察・検査の結果、治療や指導の内容等を抜き出し、電子カルテに入力するためのSOAP(Subject・Object・Assessment・Plan)形式で要約します。会話として口に出せば自動的に入力内容が作成されていくので、医師はPCではなく患者と向き合って診察することに集中できます。
要約したテキストは、確認後にRPAにより電子カルテに自動で転記されます。医師がすべきことは患者を診て話をすることと、内容を確認して転記開始ボタンをクリックすることだけです。
▲クリックすると、「kanata!」のデモ動画をご覧いただけます(FUNDINNOが作成した動画ではありません)。
精度の高い音声認識エンジンがこのソリューションの鍵となります。「kanata!」ではこれまで他社製の音声認識エンジンを使用していましたが、「認識精度に課題がある」との声が多く寄せられていました。また、「kanata!」のユーザー以外でも、医療現場での音声認識活用を試み、精度に限界を感じて諦めてしまうケースも多いようです。
そこで弊社は、診察室での会話のテキスト化・サマライズに特化した独自の音声認識エンジン「kanaVo」を開発・リリース(β版)しました。「kanaVo」は、弊社代表が20年近く電子カルテの運用に関わる中で蓄積した医療用語の辞書と、“診察室”という環境に対する新しい切り口のアプローチにより、マスク有・空気清浄機の稼働音有の状況下でも約95%という高い認識精度を実現しています。
例えば「かんぼうしょう」と発声された音声に対し、一般的な音声認識エンジンであれば広く世間一般で使われている用語から推測し、「官房省」等の漢字をあてるかもしれません。しかし、診察室内での会話であることを考慮すれば、高い確率でこの単語は「感冒症」であるはずです。会話を正確にテキスト化するには、医療用語と日常言語が共存する診察という空間の特性を踏まえたチューニングが必要です。
また、診察室での会話データを基にした予測モデルにより、文脈やシチュエーションを考慮したテキスト補完でさらに精度を上げています。ディープラーニングにより誤認識や変換ミスを学習していくので、音声認識精度は日々向上していきます。今後、ユーザーが増えた後は診療科や病院の規模ごとに異なる学習をさせ、さらにパーソナライズされた精度の高い音声認識を実現したいと考えています。
音声認識エンジンによって高精度でテキスト化された会話内容は、自然言語処理によって必要な箇所を抜き出して要約され、電子カルテに入力するためのSOAP形式に整えられます。
このサマライズ機能の開発にあたっては、某国立大学教授の助言をいただいています。さらに、京都大学発のベンチャー企業・株式会社京都テキストラボとは深層学習によるテキストサマライズの共同研究を行っており、今後も連携して自然言語処理技術の向上を目指します。
また、サマライズされたテキストを電子カルテに転記するRPAシステムは、API(アプリケーション・プログラミング・インタフェース)経由で自動化するものなので、基本的にはどの電子カルテシステムにも対応可能です。また、連携に前向きな電子カルテメーカーも増加しており、様々な電子カルテとの接続も進んでいます。これにより、今までのRPAよりも安定してシームレスに自動入力ができる環境が実現しつつあります。
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