東京ビックサイトで行われたワイヤレスジャパン2015で、スマートグラスのMOVERIOを体験するために行列ができていたEPSONブース。
MOVERIOは去年発売された商品なので目新しいウェアラブル端末ではないが、まだ手に入れていない方も多いだろう。IoTNEWS編集部メンバーもまだ未体験だったので、今回、エプソン販売株式会社 広報・宣伝部の佐藤さんにお話をお伺いしながら、IoTNEWS編集部の小泉が試してみた。
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佐藤さん(以下、佐藤)「MOVERIOは、視聴いただく映像と実際の景色を重ねて見ることができ、画面が2.5メートル離れたところに、40インチのテレビが置いてあるような感覚(※)でご覧いただくことができます。それを、このセットで持ち運ぶことができるのが特徴です。
動画をMOVERIOに入れて持ち出して、外出先で映画などで視聴することだけではなく、観光でARを使ってご案内したり、ARを使ってゲームをしたり様々な活用方法があります。今回は、動画、観光の事例、ゲームをご覧いただければと思います。」
※5m先なら80型相当、10m先なら160型相当、20m先なら320型相当の大画面になる
佐藤 まずは動画視聴をご体験いただきますが、こちらのヘッドフォンで音を聞くこともできます。ヘッドフォンは非常に高音質のDolbyを入れております。
ノーマルなシェードもありますが、遮光シェードにすると映像をくっきり見ることができますので、動画の際には遮光シェードがおすすめです。
IoTNEWS編集部 小泉(以下、小泉) ノーマルなシェードから遮光シェードに変えると、だいぶ真っ暗ですね。
佐藤 はい。向こう側が透けて見えるというのはMOVERIOの特徴になりますので、完全にまっ黒にしておりません。若干向こう側が見えると思います。
小泉 あ、そうですね。たしかに。
なかなかこの体験を読者の皆さまにお伝えするのは難しいのだが、下記をご覧いただくとイメージが沸くと思う。
目の前に大きな映像が現れるスマートグラスを実際に体験してみると、3Dをはじめて体験したような感覚に近く、個人的には、慣れない船に乗っているようだった。
MOVERIOの特徴である透け感は、自分が今いる周りの景色が視界に入りながら映像を見ることができ、完全に目を塞がれているわけではないので、非常に安心感がある。
佐藤 こちらは実際に、観光で使われた事例です。見えますか?
小泉 おお、はい、見えてます。
佐藤 こちらは角速度センサーがついていますので、傾きによってちゃんと映像を変えることができます。今ご覧いただいているのは近畿日本ツーリスト様の事例で、3月からスマートツーリズムという試みをされているのですが、その一つとしてエプソンのMOVERIOをご利用いただきました。
実際に皇居にお客様をお連れして、MOVERIOをかけていただき、現存しない江戸城をご覧いただきました。実は、江戸城は歴史の中で場所を変えているのですが、あちらの方を向いていただくと見えませんか?
小泉 あ、ほんとだ!ありますあります。
振り返ると江戸城が見え、360°の映像が用意されてるから、自分の視界に「あったであろう建造物」が重ねられるところに驚いた。だが、メガネが少し重かったので、ずり落ちてしまうのが残念だった。
佐藤 最後にご体験いただくのが、ARのゲームになります。(設定後)この箱を見ていただくと、迷路みたいなものがありませんか?さらに傾けると、鉄球みたいなボールが転がってきませんか?
小泉 あ、あります。けっこう難しいですね。
佐藤 慣れてくると、裏側から見ていただり、どうやって動くのかな?と探りながら、知恵の輪みたいな感覚でお楽しみいただけます。
小泉 裏側から見えるの、すごいですね。
佐藤 こういったカメラと映像と様々なものを連動させて、ARを作ったりする開発も可能で、技術者向けのSDKと情報はネットで無料で公開しています。
小泉 MOVERIO自体はAndroidで動いているということですが、普通のスマホでは使えないのでしょうか?
佐藤 はい、普通のスマホでは現在ご利用いただけません。AndroidをMOVERIO用に開発してますので、通常のAndroidでは動かないんです。
小泉 MOVERIOは電池で動いてるんですか?
佐藤 電池です。バッテリーが入ってて一体型になっていて、ケーブルでつないでいただく必要があります。持ちとしては、動画視聴で約6時間ほどです。
小泉 飛行機で使えそうですね。テレビを見ることはできますか?
佐藤 はい、可能です。ワイヤレスミラーリングアダプターを使って、HDMI接続対応のHDDレコーダーやプレーヤーをWi-Fiで接続することでテレビをご覧いただけます。
また、ご自宅のレコーダーとネットワークがつながっていれば、Twonky Beam(トンキービーム)というMOVERIO用のアプリがMOVERIO Apps Marketで無料で出ていますので、そちらをご利用いただき、レコーダーの中にある動画をMOVERIOで再生することができます。
※ミラーリングアダプタについては、同梱されているものと、同梱されていないものの2種類が販売されているとのこと。
MOVERIOをつけるとどのように映像が見えるのかは、こちらの動画をご覧いただくとわかりやすい。
このスマートグラスをつけるだけで、自宅や移動中に大画面で動画を見ることができる。面白そうだが、「今はまだ必要ない」と思う方も多いだろう。
だが現在、「インターネットに繋いで、遠隔地からこのスマートグラスに映像で指示がくるという業務用途」など、多くの企業から様々な形での用途について引き合いがあるそうだ。MOVERIO用のアプリ開発に必要なSDK・サポートツール等も無料で公開されているので、早いスピードで企業がサービスを提供していきやすいだろう。
そういった広がりから、エンターテイメント以外にも「かなり使えるモノ」になっていく可能性に期待したい。
・関連リンクMOVERIOMOVERIO体験店舗一覧MOVERIO Developer Site
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