写真:Impress Watch
ソニーから2月16日に発表された完全ワイヤレスイヤフォンの“常時装着”を提唱する「LinkBuds」。最大の特徴は、中央に穴が開いたリング型ドライバーユニットを搭載していること。音楽や動画視聴はもちろん、AIを使ったマイクでビジネスユーザーもターゲットにしているモデルを、短時間ながら試聴したので、ファーストインプレッションをお届けしよう。【この記事に関する別の画像を見る】LinkBuds最大の特徴は、上述したように中央に穴が開いた新開発のリング型ダイナミックドライバーユニットを搭載すること。これにより音楽を聴きながら、周囲の音も確認できるようになっている。ドライバー口径は12mm。同社完全ワイヤレスイヤフォン「WF-1000XM4」と同じ総合プロセッサー「V1」を採用し、クリアな高音質も実現している。店頭予想価格は23,000円前後。それでいて本体サイズはソニーの完全ワイヤレス史上、最小最軽量。WF-1000XM4と比べて、本体サイズは51%、ケースサイズは26%の小型化を果たしている。実際に手に持ってみて驚くのは、やはりケースのコンパクトさ。AirPods Proのケースと比べると厚みはあるものの、横幅と奥行きは小さく、まさしく手のひらサイズ。再生プラスチックを使った外装はサラサラとした手触りで心地いい。イヤフォン自体もかなりコンパクトかつ軽量で、装着して重さを負担に感じることもなかった。ケースの蓋は磁石ではなく、プラスチック製のツメで閉じられており、正面のボタンを押しながら開閉する。イヤフォン自体もプラスチック製のツメと磁石によって固定されている。このあたりは上位モデルとの差別化ポイントと言えそうだ。装着方法は耳穴に押し込むというより、耳穴の上から差し込むようなイメージ。一般的なイヤフォンとは違う装着法だが、詳しい装着方法とフィッティングサポーターの交換方法は動画でも確認でき、ほとんど苦労せず装着できた。装着感は独特で、カナル型イヤフォンを装着しているような密着感はありつつ、耳穴への圧迫感は一切ない。フィッティングサポーターの効果もあって、首を左右に振ったくらいではズレたり、落ちたりすることもなかった。耳からの出っぱりもほとんどないため、マスクの着脱時に引っかかる心配もない。短時間の試聴だったが、これならコンセプトどおり“常時装着”してもストレスは少なそうだと感じられた。音を聴いてみると、イヤフォンとは思えないほど音場が広がっていく。広い音場感が出やすい開放型ということもあるが、コンパクトサイズのイヤフォンから出ているとは思えず、まるでヘッドホンのように音が心地よく広がっていく。楽曲が聴こえにくいということもなく、「ホテル・カリフォルニア/イーグルス」ではiPhoneのボリューム4割ほどで十分に音楽を楽しめた。同じ音量のまま「三原色/YOASOBI」を再生すると、うるさく感じてしまったほど。音質はこもったりすることはなく、クリア。開放型イヤフォンと聞くと、低音が抜けてしまって迫力のない音を想像しがちだが、LinkBudsでは密閉型イヤフォンほどではないものの、低域もしっかり感じられ、「ホテル・カリフォルニア」のドラムやベースも響く。中高域の窮屈さはなく「三原色」では、ボーカル・ikuraの歌声が伸び伸びと広がっていく。高域が刺さるような印象もない。どこかの音域が変に強調されているような印象はなく、どちらかといえばモニターライクな印象だった。筆者は普段、イヤカフ型で耳をふさがないambieの完全ワイヤレス「AM-TW01」も使用しているが、個人的にはLinkBudsのほうが、より自然なサウンドで好みだった。密閉型イヤフォンと遜色ないサウンドにもかかわらず、隣にいる人の話し声もしっかり確認できるのは、リング型ドライバーのLinkBudsならではの体験。今回は屋外での試聴はできなかったが、ウォーキングや犬の散歩など音楽を聴きながら周囲の状況も確認したいシチュエーションにもマッチするだろう。本体または耳周りの顔を2回または3回素早くタップすることで各種操作ができる「ワイドエリアタップ」も反応はいい。試した限りでは、耳の下、もみあげあたりをタップすることで、イヤフォンやスマートフォンに触れることなく楽曲操作ができた。リング型ドライバーユニット独特の装着方法で耳穴に負担がなく、装着していることを忘れそうになるほど軽いLinkBuds。開放型とは思えない低域の響きも含め、聴き疲れしにくいサウンドは1日中着けっぱなしにしていてもストレスなく音楽を楽しめそうな印象だった。
AV Watch,酒井隆文
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