映画やゲームでよく見ると「ドルビーアトモス(Dolby Atmos)対応」と書いてあるが一体何がそんなにすごいのかというのがいまいちピンと来ないな?という場合に使えるのが「Creative SXFI CARRIER」。オーディオ機器やPC向けサウンドハードウェアのメーカーであるCreativeが、オーディオ記録・再生技術を開発するDolbyと共同開発したサウンドバーシステムとなっており、自宅でも簡単に3Dサラウンド音響システムの「Dolby Atmos」の音響を鳴らすことができる、とのこと。「いや、そんな爆音で鳴らすと近所迷惑だから無理」という場合でも大丈夫、Dolby Atmosはヘッドホンにも対応しており、しかもCreative独自のヘッドホンのバーチャルサラウンド技術「Super X-Fi」というのもあるので、幅広くいろいろな音を強化できます。とは言うものの、実際にその迫力と臨場感を体感するには一体どうすれば良いのか?興味はあるけど細かいところがわかんないな?という人向けに、そこのところをきちんとセットアップして確認してみました。Creative SXFI CARRIER - Super X-Fi® ヘッドホン オーディオ ホログラフィ搭載 Dolby Atmos® スピーカー システム サウンドバー - Creative Technology (日本)https://jp.creative.com/p/speakers/creative-sxfi-carrier◆そもそもDolby Atmosとは?◆Creative SXFI CARRIERの外観◆Creative SXFI CARRIERをセットアップしてみた◆Creative SXFI CARRIERでDolby Atmosサウンドを体験してみた◆バーチャルサラウンドヘッドホン「SXFI THEATER」を接続してみた◆そもそもDolby Atmosとは?Dolby Atmosはドルビーラボラトリーズが開発した3Dサラウンド音響方式の1つ。従来のサラウンド音響による前後左右からの音に加え、さらに上下に広がる音を加えることで立体的なサウンドを実現します。なお、立体音響方式には他にも、Digital Theater Systems(DTS)が提供する「DTS:X」が存在します。
Dolby AtmosやDTS:Xなどの3Dサラウンド音響では、前後左右上下にスピーカーを設置し、重低音を担当するサブウーファーを置くことが薦められますが、一般家庭で大量のスピーカーを設置するのはハードルがかなり高く、特に天井にスピーカーを取り付けるというのは賃貸物件に住んでいる場合はほぼ不可能です。
しかし、3Dサラウンド音響に対応したサウンドバーであれば、複雑なスピーカー環境を構築しなくても、たった2つ、サウンドバーとサブウーファーを置くだけでDolby AtmosやDTS:Xの音響を楽しむことができるようになります。なお、Dolby AtmosやDTS:Xを体験するためには、音声の入力ソース側もDolby AtmosやDTS:Xに対応している必要があります。◆Creative SXFI CARRIERの外観Creative SXFI CARRIERはサブウーファー(左)とサウンドバー(右)の2つで構成されています。本体は黒色で、サウンドバーの正面パネル以外はマットな質感です。
サウンドバーの正面はこんな感じ。大きさは幅88.0cm×奥行き12.8cm×高さ7.6cmです。
中央にスピーカーが1つ、天面部分には電源ボタン、音量ボタン(-/+)、ソースボタン、モードボタン、SXFiボタンがあります。
左スピーカー部。写真では少し分かりにくいですが、グリルカバーの中にはスピーカーが3つ搭載されており、それぞれ斜め上・正面・側面を向いています。
左スピーカー部の横にはDolby Atmosに対応していることを示すロゴ。
右スピーカー部も、右スピーカー部と同じく3つのスピーカーが搭載されています。つまり、サウンドバーには合計で7つのスピーカーが搭載されていることになります。なお、サウンドバーに搭載されている7つのスピーカーは、それぞれ個別に独立したアンプで駆動するとのこと。
そして右スピーカー部の横にはCreativeのSuper X-Fiに対応していることを示すロゴがあります。
左側面
右側面
サウンドバーの背面はこんな感じ。壁に固定するためのフック穴が2つついています。
背面中央にはコネクタ類。上段左にはSuper X-Fi出力専用のUSB Type-A端子があります。
そして上段右には音声入力用のUSB Type-C端子があります。下段には左からHDMI 2.1対応入力が2つ、HDMI 2.1eARC対応出力が1つ、光デジタル端子が1つ、外部音声入力用の3.5mmオーディオ端子が1つ、サブウーファーと接続するための3.5mmオーディオ端子が1つ。そして2.4V・4Aの電源端子があります。
背面左側には技適マークやCEマーク、製品のシリアルナンバーなどが記されていました。
底面はこんな感じ。
そして、Creative SXFI CARRIERの重低音を担当するサブウーファー。大きさは縦43.0cm×横22.5cm×高さ45.0cmです。
正面には直径約8cmのバスレフポート。
サブウーファーの右側面には直径約34cmのドライバー。
サブウーファーの背面はこんな感じ。
CEマークや技適マーク、シリアルナンバーが記されています。端子はサブウーファー入力用の3.5mmオーディオ端子、USB Type-A端子、リセットボタン、電源用のメガネ端子。
そして、同梱物の内容は、HDMIケーブル、メガネ端子の電源ケーブル3本、ACアダプター1本、リモコン。なお、サウンドバーとサブウーファーは自動でワイヤレス接続ができますが、3,5mmオーディオケーブルで有線接続することも可能。ただし、3.5mmオーディオケーブルは同梱されていないので、有線接続する場合は自前で用意する必要があります。
◆Creative SXFI CARRIERをセットアップしてみたサブウーファーに電源ケーブルを挿し……
サウンドバーにも電源ケーブルを挿します。サウンドバーとサブウーファーは2.4GHz帯のワイヤレス接続でつながるので、機材のセットアップはほぼ終わりです。めちゃくちゃ簡単。
ただし、使う前に専用アプリでキャリブレーションを行う必要があります。専用アプリはiOS版とAndroid版が無料で配布されています。今回はiOS版を使ってキャリブレーションを行います。今回はiPhoneを使います。まず、Creative SXFI CARRIERの電源ボタンを長押しして……
Bluetoothペアリングモードに切り替えます。正面に「BT PAIRING」と表示されます。
iPhoneの「設定」→「Bluetooth」から「SXFI CARRIER」を選択し、「ペアリング」をタップ。
SXFI CARRIERの状態が「接続済み」になったら、iPhoneとCreative SXFI CARRIERのBluetooth接続に成功です。
次に、App Storeにアクセスし、「入手」をタップして専用アプリをインストールします。
Bluetoothで接続した状態で「新しいデバイスを追加」をタップ。なお、先にアプリをインストールしておけば、アプリ側から自動的にCreative SXFI CARRIERを検索してくれるので、あとは製品名をタップするだけで接続可能です。
「SXFI CARRIER」と表示されたデバイス名をタップします。
接続に成功するとこんな感じ。例えば「サウンドモード」をタップすると……
映画視聴に最適な「ムービー」、音楽を聴くのに最適な「ミュージック」、全体的に音のアタックを控えめにした「夜間」、標準設定の「ニュートラル」、音域の広がりを重視した「SuperWide」の5つにサウンドモードを切り替えることができます。
3Dサラウンド音響であるDolby Atmosを体験するためには、スピーカーから出る音の方向や反射を最適化するキャリブレーションを行う必要があります。専用アプリから「キャリブレーション」をタップ。
キャリブレーションでは、まず「距離」を測ってアプリに入力する必要があります。測る距離は、聞き手である自分からサウンドバーまでの距離、自分とサブウーファーまでの距離、そして天井の高さです。サウンドバーとサブウーファーまでの距離は0m~20m、天井高は2.5m~5mの幅で入力できます。
次に「バス」で、サウンドバーとサブウーファーから音が交互に再生されるので、同じ音量になるようにバスの音量を調整し、バランスを整えます。
そして、「高さ」からハイトチャンネル効果の量を決定しますが、距離とバスを入力していれば、ここは自動で決定されます。これでCreative SXFI CARRIERのキャリブレーションはOK。
◆Creative SXFI CARRIERでDolby Atmosサウンドを体験してみたCreative SXFI CARRIERと接続したiPhoneから楽曲を再生してみました。なお、Apple Musicはちょうど2021年6月に、Apple Musicで配信されている楽曲の一部が「空間オーディオ」としてDolby Atmosに対応。このApple MusicのDolby Atmos再生が正式に対応しているのはApple製品のみのため、Creative SXFI CARRIERで対応しているかどうかは不明ですが、たとえDolby Atmosで再生できずともCreative SXFI CARRIERであれば迫力ある音響で再生されるはず。
実際に聴いてみると、まさに音に包まれているという表現がぴったり。サブウーファーからの迫力のある音がズシンと響きますが、低音が響きすぎて割れてしまうこともなく、しっかりと音が届く印象。高音部も、低音に振り切りすぎてシャリシャリすることがなく、素直でクリアに聞こえます。特にオーケストラによる演奏では、バスドラムだけではなく、コントラバスをしっかりと弓を引いて鳴らしている音が鮮明に聞こえます。また、高音部では弦楽器のトレモロや木管楽器の繊細な息づかいが粒だっており、低音部に負けていません。加えて、Bluetooth 5.0で接続しているため、操作の遅延がほとんど解消されているのもうれしいポイントでした。
そして、Creative SXFI CARRIERでDolby Atmosを体験するためには、Creative SXFI CARRIERに接続するオーディオ機器や入力コンテンツがDolby Atmosに対応している必要があります。家庭用ゲーム機の場合、Xbox OneやXbox Series Xが、Dolby Atmos公式対応ハードウェアとなっています。Xbox Series X - Dolby https://www.dolby.com/experience/gaming-consoles/xbox-series-x/
というわけで、Xbox Series Xを入力ソースに選んでみました。Xbox Series XからCreative SXFI CARRIERにHDMIで入力し、Creative SXFI CARRIERのHDMI eARCポートからテレビやモニターに出力すれば、音声がCreative SXFI CARRIERから再生されます。具体的な接続構成は以下の図のような感じ。
映像出力とサウンドバーとXbox Series Xをケーブル2本でつなぐだけなので、配線はめちゃくちゃ簡単で、非常にシンプルです。まずXbox Series XのHDMIケーブルを、サウンドバーのHDMI入力に接続。
次に、サウンドバーのHDMI eARC出力に、HDMIケーブルを接続。
HDMI eARC出力に接続したHDMIケーブルを、映像機器につなげばOK。
ケーブルにHDMI 2.1ケーブルを使うことで、4K映像や8K映像、HDRコンテンツをそのままパススルーでテレビに出力することができます。
Dolby Atmos対応コンテンツはBlu-rayディスク以外にも、ストリーミング配信サイトでも配信されています。例えば、Netflixで配信されている映画「BLAME!」は日本語オリジナル音声がDolby Atmos対応となっています。実際にXbox Series XのNetflixアプリで「BLAME!」を再生してみると、「日本語[オリジナル](Atmos)」が選択されていました。爆発時の重低音がしっかりと聞こえると同時に、高音部もクリアに聞こえる印象。重力子放射線射出装置の発射シーンの発射シーンの重低音はさすがにもっと本格的な構成となっているサウンドシステムや本物の映画館には届きませんが、ウーファーからのベース音をあげたりサウンドモードを切り替えることで可能な限りそれっぽい重低音に調整できます。
さらに、Xbox Series Xでは、Dolby Atmosを体験できるデモアプリ「Dolby Access」が配信されています。
Dolby Atmos対応環境にXbox Series Xを接続すると、「Dolby Atmos for Home Theatre」が使用可能になります。
用意されているDolby Atmosのデモコンテンツ「Nature's Fury」は、Dolby Atmos対応の映画館で作品上映前に流れるデモ映像が体験可能。前後左右上下に音の空間が広がり、圧倒的な迫力と臨場感を体感できます。ズンと響く低音と細やかな高音によって、音域は通常の2chスピーカーとは比較にならないほど幅広く、遠くで鳴る雷が空気を震わせる感じや静かな森の中で小川が流れる音、強い風が吹き付ける中でたき火の炭がパチパチとはぜる様子がはっきりとわかり、音から得られる情報量が何倍にも増幅する印象。
もちろんDolby Atmos対応のゲームや映画のトレイラーも公開されています。例えば、「ANUBIS ZONE OF THE ENDERS : M∀RS」では左右から襲いかかる敵の攻撃の音がちゃんと左右から聞こえ、武器の発射音やブースターの音、機体がぶつかり合う音が立体感を伴って耳に届きます。
また、映画「1917 命をかけた伝令」の一場面では重厚なBGMが終始流れているのですが、炎に包まれた建物が燃えながら崩れる音や、登場人物の息づかい、銃声、銃から排出された薬きょうが地面に落ちる音もはっきりと聞き取れて、すさまじい臨場感が得られます。
◆バーチャルサラウンドヘッドホン「SXFI THEATER」を接続してみたCreativeが独自に開発したバーチャルサラウンド技術「Super X-Fi(SXFI)」に対応したワイヤレスヘッドホン「SXFI THEATER」をCreative SXFI CARRIERと接続すれば、Dolby Atmos音響をサラウンドヘッドホンで楽しむこともできます。SXFI THEATERのパッケージはこんな感じ。
中に入っていたのは、取扱説明書とSXFI THEATER本体、SXFI USBドングルなどの周辺機器。
SXFI THEATERの見た目は至って普通のヘッドホンです。
右イヤーカップ
左イヤーカップ。
イヤーカップの内径は実測で縦6cm×横4cm×深さ2.5cmで、耳をすっぽりと覆う大きさです。
イヤーカップのアームは11段階で調節可能。
左イヤーカップには電源ボタンとマイク接続用の端子、有線出力用3.5mmオーディオ端子。
SUPER X-Fi接続のボタンと音量調節ダイヤル、マイクミュートボタンがあります。
SXFI THEATERはSXFI USBドングルを介してSuper X-Fi対応のオーディオ機器と接続し、バーチャルサラウンドを可能にします。Creative SXFI CARRIERはSuper X-Fiに対応しており、Creative SXFI CARRIERの背面にあるSuper X-Fi出力用のUSB Type-A端子にSXFI USBドングルを接続すればOK。
なお、SXFI THEATERでなくとも、ケーブルタイプのイヤホンでもサウンドバー内蔵の機能でSuper X-Fi技術は楽しめます。その場合は「SXFi」ボタンを押して機能をオンにするか、リモコンやスマートフォンでオンにします。
SXFI THEATERの電源を入れて装着すると、サウンドバーからの音が確かにヘッドホンから聞こえます。試しにXbox Series XのDolby Accessでデモ音声を流してみたところ、さまざまな方向から音が鳴り響き、確かにサラウンド音響になっています。Creative SXFI CARRIERのサウンドバー+サブウーファーと聞き比べると、サブウーファーがない分、重低音の迫力がやや薄くなっていますが、サラウンド音響が生み出す臨場感はそのまま。試聴した編集部員からは「サウンドバーで聞くときに比べると体にズンとくるような迫力はそこまでないが、遠近感や立体感がある音になっているので、むしろこっちの方が好みかもしれない。途中で聞こえる声は本当に遠くから誰かに呼ばれているように感じた」という感想が得られました。
Dolby Atmos対応のCreative SXFI CARRIERは、家での映画やゲームの音響体験を確実に向上させてくれる総合450Wのサウンドシステム。クリアで粒立った高音と繊細ながらもドッシリとした重低音のバランスはよく、スピーカー振動によるノイズもなく、しっかりと包み込んでくれるような音空間を生み出します。セットアップも非常に簡単なのでオーディオ初心者でも導入は非常に簡単。Bluetooth 5.0に対応しているので、スマートフォンからの音楽再生やサウンドバーの操作でも遅延がなくストレスフリーというのも大きなポイントです。さらにSXFI THEATERを接続すれば、夜間でも大音量でサラウンド音響を堪能できるので、「大迫力の音響で映画を楽しみたいけど、隣人からの苦情が気になる」という人にもオススメです。Creative SXFI CARRIERは以下のページから購入可能。Creative SXFI CARRIERの価格は税込12万円、SXFI THEATERは税込2万3800円です。Creative SXFI CARRIER - Super X-Fi® ヘッドホン オーディオ ホログラフィ搭載 Dolby Atmos® スピーカー システム サウンドバー - Creative Technology (日本)https://jp.creative.com/p/speakers/creative-sxfi-carrier
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