格安スマホ(MVNO)サービスを提供するエックスモバイルは2021年10月10日、モバイルWi-Fiルーター機能とスマートフォン機能を併せ持つ新製品「スマートWi-Fi」を発表し、無料で発売しました。
スマートWi-Fi は、eSIM対応でSIMカードの差し替えを不要とし、日本国内を含む95か国で使えるAndroid端末。国内ではNTTドコモの音声回線、KDDIのデータ回線を使用し、海外では現地の通信事業者の回線に自動で切り替わる仕様です。
本体代、事務手数料は無料で、月額料金は3278円(税込み)。月間データ容量は20GB、5分以内のかけ放題も含まれます。
また、国内Wi-Fiモード、海外Wi-Fiモード、スマホモード、簡単スマホモードを備え、ユーザーが必要に応じて切り替えることが可能。若者からお年寄りまであらゆる世代が使えるようにした、と同社はアピールします。
スマホライクなモバイルWi-Fiルーターといえば、「限界突破WiFi」を想起されるかもしれませんが、こちらは国によって料金やデータ容量が異なるほか、音声通話機能を搭載しないなど、国内外を頻繁に行き来する人に向けた、モバイル通信端末でした。
木野将徳社長は、10日に開いた記者会見で、「万人受けする1台が求められている」と述べたうえで、「国内外で使える料金はワンプラン、そして端末1台で何でもこなせる、そんなサービスと製品を目指した」と話しました。
新端末の開発に際し、「地方の自治体やスーパーマーケットなどに自ら出向き、どのような需要があるのかを調査した」ともいいます。その調査によれば、「大手キャリアの回線ですらつながらず、光などの高速な固定回線をひけない」というユーザーが多かった、とのこと。
「そうしたユーザーの不満点を解消すべく、スマートWi-Fi では対応バンドを従来製品よりも増やした」(同氏)といいます。
『誰でもかんたんに使える新製品』で大手格安プランに対抗
また、同氏は創業から現在に至るまでの経緯についても、かんたんに振り返りました。
「創業前は携帯代も払えないくらい貧乏だった。LCC=格安航空会社のように、誰でも気軽にスマホを使える社会にしたい、という思いのもと2013年にネットカフェで会社を設立した。その後は、ドコモ回線を借り受けること(MVNOとして)で、格安スマホや格安SIMなどのサービスを提供。また、高齢者に特化した据え置き型の電話機『スゴい電話』、スマホライクに使えるタッチディスプレイ搭載の『限界突破WiFi』を発売。全国に店舗網を広げ、積極的に出店している」。
ここまで順調と思いきや、エックスモバイルにとって大きな脅威となったのが、自前回線網を持つMNOとして新規参入を果たした楽天モバイルや、ahamoなどのキャリア格安プランでした。同氏は「大手キャリアの格安プランによって、我々MVNOは苦戦を強いられている」と胸の内を語りました。
そうした状況下で発表した『誰でもかんたんに使える』がうたい文句のスマートWi-Fi は、大手キャリアとの差別化要素のひとつになりそうな製品だと、筆者は考えます。料金についても「大手キャリアのオンライン専用プランをかなり意識した」(同氏)とのことなので、2台目需要にも対応できそうです。
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