KC62に装填されているドライバーは16.5cm口径が2基。この2つのユニットを背中合わせに配置し同相駆動することで、お互いの反力を相殺させ、キャビネットの振動、共振を減退させるように設計されている(フォースキャンセリング技術)。
16.5cm口径のウーファーが背中合わせで搭載されているしかし、2つのドライバーを収めようとすると、必然的にキャビネット容積は大きくなるはず。しかし、そうさせないためにKC62には驚くべきアイディアが盛り込まれているのだ。
それが径の異なる2基のボイスコイルを干渉させることなく一つのマグネット・システムに組み込んで、2基の振動板を駆動する「Uni-Core(ユニコア)デュアル・ドライバー」技術だ。この構造を採ることで、二つのマグネット・システムを採用した場合に比べて(同等の性能を得るのに)キャビネット・サイズを3分の1以下にできるという。
フォースキャンセリングを実現するには、2基のユニット動作の対称性が保たれることが前提になるが、KC62はボイスコイルの捲線の長さを調整するなどして、その対称性を維持しているそうだ。
Uni-Coreテクノロジーまた、2基のボイスコイルにはジャイロセンサーと収音マイクが搭載されていて、動作電流をリアルタイムでセンシング、内蔵されたDSPにフィードバックし、高調波歪みを大幅に低減する「スマート・ディストーション・コントロール」機能が内蔵されている。
背面「ミュージック・インテグリティ・エンジン」と命名されたこのDSPはさまざまな機能を持つが、とくに有用なのが「ルーム・プレイスメント・イコライゼーション」機能。波長の長い低音は、部屋の広さや寸法比によってその伝送特性が著しく変化し、サブウーファーは置き場所によってそのパフォーマンスが大きな影響を受ける。
たとえば部屋の隅や壁際にサブウーファーを置くと、壁の反射によって低音域が盛り上がり“ボンつく”ケースが多い。その場合は本機の「ルーム・プレイスメント・イコライゼーション」を<CORNER>や<WALL>モードに設定すると、低音域の盛り上がりを抑えるようにイコライザーが働く。実際に使ってみると、その効果は劇的だ。
中央付近にあるのが「ルーム・プレイスメント・イコライゼーション」の切り替えスイッチこの機能には他にROOM、CABINET、APARTMENTモードがある。ROOMは壁から十分に離した場所に置いたときのモードで、フラットな特性が得られる。CABINET はラックなどの家具の中に設置した場合を想定し、低音のこもりを排除するモード。APARTMENTは集合住宅で近隣への音漏れを抑えるために設けられたモードで、サブソニック領域の超低音をカットするようにイコライザーが設定されている。
KC62でもう一つ興味深いのが、振動板のエッジ構造だ。蛇腹のようなプリーツ・デザイン(P-Flexエッジ)が採用されていて、十分な振幅を確保しながらキャビネット内の空気圧を適切に制御する仕組み。歪みを抑えて過大入力にも強い構造だ。
KC62は先述の通り、とてもコンパクトなサブウーファーだが、手に持ってみるとズシリと重い。剛性を追求したアルミ鋳造で、質量は14kg。ゆるくアールがつけられたデザインが好ましく、カラリングはミネラルホワイトとカーボンブラックの2種類。この小ささなので、部屋の目立たないところに隠して置けるが、その仕上げもたいへん美しく、リビングルーム設置を躊躇させないことも重要なポイントだろう。
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