米CEVA(シーバ)は、複数のダイを1パッケージに収めた先端ロジックICに向けて、IP(Intellectual Property)コアの新製品「Fortrix SecureD2D IP」を2022年1月26日に発表したニュースリリース。新製品はダイ間の通信をセキュアーに行うためのIPコアであり、米国防総省のSHIP(State-of-the-Art Heterogeneous Integrated Packaging)プログラムの一部として選定・実装されている。また、現在、米Lockheed Martin(ロッキード マーティン)と大手半導体メーカー1社が、このIPコアの採用を決めているという。
最先端半導体プロセスで製造するMPU(Micro Processing Unit)に代表される先端ロジックICでは、主に製造コストの関係から、1つのダイに全回路を集積させるのではなく、複数のダイ(チップレットやタイルとも呼ばれる)に分け、それらを1パッケージに収めるようになってきた。米Gartner(ガートナー)によれば、20年に33億米ドル(約3800億円、1米ドル=115円)だったマルチダイ半導体製品の市場は、24年に約15倍の505億米ドル(約6兆3300億円)に拡大するという。
今回の新製品であるFortrix SecureD2D IPは、マルチダイICのセキュリティー確保に向けたIPコアで、このIPコアをダイに集積することにより、ダイ間のセキュアーな通信を実現する。セキュリティーと確実性が重視される航空宇宙防衛市場や産業・自動車市場、IoT(Internet of Things)アプリケーションなどにおいて、今回の新製品の需要をCEVAは見込む。
(出所:CEVA)[画像のクリックで拡大表示]
Fortrix SecureD2D IPは、CEVAの完全子会社である米Intrinsixの製品で、セキュアーファブリックを経由して暗号化/復号化を行うコントローラーを備えている。ECDSA(Elliptic Curve Digital Signature Algorithm)/SHA(Secure Hash Algorithm)-2/AES(Advanced Encryption Standard)などの暗号化方式に対応する。さらに、ローレベルのファームウエアAPIやカスタマイズ可能なハイ・レベル・アプリケーションもこの製品に含まれる。「新製品を導入することで、容易に複数のダイをセキュアーに統合できる」(同社)という。
新製品の主な仕様(出所:CEVA)[画像のクリックで拡大表示]
現在、Fortrix SecureD2D IPはライセンス提供中である。提供されるのは、IPコア本体のRTL(Register Transfer Level)設計データ、SDC(Synopsys Design Constraints)形式の制約条件、各種ファームウエア、ドキュメントなど。CEVAでは新製品を集積するダイの設計やダイのセキュアーな統合などを支援するサービスも提供する。
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