「シンプルが1番!」と揃えたはずのクローゼットが、ただ無難な服だけになってしまうのも嫌だし、トレンドばかりを追いかけて散財してしまうのも何だか馬鹿らしい。ベーシックだけど小粋で魅力的。まさに今私たちが揃えたい、持っていて損のないアイテムをVOGUE GIRL副編集長の荒井現が直伝!
毎日違うコーディネイトを意識し過ぎて、逆に自分のスタイルがわからなくなってしまうことがあります。服の基本カラーを決めるなどもその解決策のひとつですが、同じアクセサリーを身につけ続けることも、コーディネイトに統一感を与えてくれるテクニックです。毎日つけるものだから、悪目立ちし過ぎずも、アクセントととしての役割もしっかり果たしてくれるデザインを選びたいところ。その点もイニシャル・ペンダントは、お守り(チャーム)っぽいムードもあって素敵だと思います。「クロエ(CHLOÉ)」で見つけたペンダントは、装飾的なイニシャルのデザインが洗練されたインパクトを持つ1品。選ぶイニシャルは、自分の名前でもいいですが、大好きなパートナーやペットのイニシャル、好きな言葉の頭文字もいいかもしれません。その人の名前と違うイニシャルをつけているなんて、ちょっとだけミステリアスで楽しい!
エディターとしてコレクション取材に行くようになったとき、パリで手に入れた「ルイ・ヴィトン(LOUIS VUITTON)」のスタジャン。当時の僕には高額な買い物だったので迷いに迷い、最終的には「出張の思い出」という無理やりな理由をつけて購入しました。なぜそこまで欲しかったのかというと、コレクション会場で見かけた白いコットンドレスにこのスタジャンを着たエディター女子がとっても可愛かったから。メンズなイメージが強いアイテムこそ、女性が着るとグッと素敵になる。そんなスタイル哲学を象徴する姿でした。そこから「自分も欲しい!」となってしまった経緯はちょっと曖昧なのですが(笑)、ハイブランドのものなのに、どこかユルい感じが気に入ったのだと思います。しかもこのスタジャン、サテンシルク素材なので着心地もやわらかくて最高。カジュアルなだけではない上品さが漂うデザインは、さすが背中にブランドロゴを背負っているだけはある!
女性がビッグサイズのバッグを持っている、そのちょっとしたアンバランスさが素敵だなと思います。ベーシックなスタイルだからこそ、バランスをよく見せることだけを考えずにときにバランスを崩してみる。そんなちょっとした冒険心が自分らしいスタイルを手にいれるためには必要不可欠です。「エルメス(HERMÈS)」のビッグトートは、僕も気に入っていて20代の頃からずっと愛用しているバッグ。あまりに丈夫で使いやすいので、ストラップの色違いで4つを所有するほど。ハリのある厚手のキャンバスは、カジュアルだけど女性が持ってもだらしなく見えない凛としたムードも漂っています。夏はもちろん、冬にだって大活躍の定番バッグです。
ローテクのスニーカーは必ず揃えておきたい基本中の基本アイテム。好みは人それぞれだけど、もしまだお気に入りの1足に出会えてないのなら、「ヴァンズ(VANS)」のスリッポンをオススメしたいです。履きやすさはもちろん、いい意味で主張しすぎない上品さがあって、どんなシーンのどんなコーディネイトにも合うんじゃないかと思います。色はネイビーで決まり。なぜって、あのソフィア・コッポラも愛用しているから。グレイのニットとブラックのクロップド丈パンツに合わせた姿は、最高にシンプルで素敵でした。もうそれだけで十分“買い”の理由になりますよね。
何だかコーディネイトがねむくて、ちょっとメリハリをつけたくなる。そんな時は思い切ってネオンカラーのアイテムを一点投入が、即効性のある解決策です。僕の場合は、数年前に「ジル・サンダー(JIL SANDER)」で出会ったオレンジのサマーニット。とにかく発色がいいので、実際に着るというよりも羽織ったり、腰に巻いたりとコーディネイトのアクセントとして活用しています。しかもこのネオンカラーの差し色テクニック、紺ブレやシャツなど合わせるアイテムがコンサバであるほど効果が高い!
男子は必ず1本は持っているトラディショナルなベージュのチノパン。僕もさまざまなチノパンを試してきたのですが、結果的に「サイベーシックス(SCYE BASICS)」のものに落ち着きました。よく愛用しているのは2タック入りのゆったりしたシルエットなのですが、ガールの皆さんにはノータックのシンプルなものをレコメンド。このアイテムに限っていえば、女らしさなんて意識せず、小粋に、ボーイッシュに着こなすことに集中したいです。だから合わせるトップも、カレッジ風のスウェットやざっくりとしたフィッシャーマンニットなどがいい感じ。上手に着こなしたいなら、彼や周りにいるイケてる男友達の着こなしをチェックしてみてください。おしゃれのライバルが男の子だなんて何だかワクワクしませんか?
「日常のおしゃれにボーイッシュなムードを取り入れる」というのが、この企画の大切なポイントになっています。なぜなら、過剰な女らしさを持つ服は、着る人(女性)との距離感が近過ぎて必ず飽きがきてしまうから。その点、ボーイッシュな服とは程よい距離感が保てるから、飽きることなく楽しめます。長く関係を続ける秘訣は、恋も服も同じなのかもしれないですね〜。さて、前置きが長くなりましたが、そんなおしゃれ哲学を部屋着にも。一見すると男の子の下着のような、このストライプ地のショーツ。「サンスペル(SUNSPELL)」というブランドが「ほぼ日」とコラボした女性用のルームウェアです。深い夜にまとう繊細なランジェリーも素敵ですが、こんなショーツとタンクトップで過ごす昼下がりのイメージって、清潔感があってとってもセクシーだなと思います。
天井とつばが平らでブラックのバンドが巻かれたボーター。日本ではカンカン帽として古くから親しまれていて、今でも数年ごとにトレンドになるアイテムです。被るだけで陽気でロマンティックなムードが作れるので、「コーデのリフレッシュ用」として持っているとおしゃれの幅を広げてくれるんじゃないかと思います。こちらの帽子は数年前、パリのマレ地区にあって今は閉店してしまった小さな帽子屋さんで購入、50ユーロもしなかった掘り出しものです。当時、某人気ブランドからこのタイプの帽子が登場していて、僕も似たものが欲しいと探していたところ見つけたわけなんですが、店主が「そのブランドのデザインチームもこの店でリサーチ用に購入していったよ」と教えてくれて、なんだか運命のモノと出会えて気がして嬉しかった。そんなご機嫌な思い出も一緒に被っています。
冠婚葬祭用ではないシンプルなリトルブラックドレスは、やっぱり1着は持っていたいアイテムです。では、どんなデザインが素敵なのかというと、服と肌とがバランス良く見えるものに尽きるのではないかと思います。“隠す”ところと“出す”ところを間違えると、途端に下品になったり垢抜けなくなるのがLBDの怖いところ。オススメしたいのは “長袖”で“ミニ丈”なデザインです。ブラックという強いカラーに、若々しくも落ち着いた女らしさを吹き込んでくれます。
キラキラとしたものは理屈抜きで可愛いもの。だから女の子に生まれてよかったと思わせてくれるバッグを、ひとつクローゼットに加えて欲しいです。長く使うためには「チープな可愛らしさ」よりも「高級感」を狙いたいところですが、「ロジェ・ヴィヴィエ(ROGER VIVIER」のバッグは、運命を感じるくらいの可愛らしさ!
無駄のないクローゼットを揃える早道は、自分に似合う基本のカラーを1色見つけてみることだと思います。多くの人は白や黒、ネイビーなどがそれだと考えますが、僕はキャメルがオススメです。この色がもつ主張し過ぎない存在感は、他のカラーと合わせてもコントラストが効きすぎることもなくとってもシック。数年前に購入した「ミュウミュウ(MIU MIU)」のツインニットは、ベーシックなデザインながらシアーなハイテク素材という、ちょっと攻めなアイテムなのですが、こんな大胆な素材でも上品さが漂うのがキャメルの魅力じゃないでしょうか。アクセントにつけたコサージュのエメラルドグリーンのように、イエローやオレンジ、ピンクといった鮮やかな色を少し挿すだけでキャメルの魅力がグッと引き立つのも面白い。ひとことにキャメルと言っても、さまざまなトーンがあるのもこの色の奥深いところ。自分の肌に1番似合うキャメルを見つけることが、スタイルを手に入れる鍵となりそうです。
ファッションアイテムだけじゃなく、毎日使うものも色んなこだわりを持って選んで、自分なりの「楽しい」を積み上げていくことが大切じゃないかと思います。しかもそれは高級であったり、洗練されていればいい、というワケじゃないところが案外難しいところ。個人的にはちょっとチープだけで遊び心あるものに惹かれます。例えばガールも大好きな毎日のお茶の時間だって、マグカップ1つで楽しい気分が倍増。僕のティーブレイクのおともは、エリザベス女王がプリントされたマグカップ。友人からロンドン土産でもらったものですが、このカップを前にすると、女王と向き合っているようなシュールさが楽しくてとても気に入っています。
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