オンキヨーの「APX-2」。背後のスピーカーは「D-312E」
「パソコンは専用オーディオに劣る」 そんな常識は、今後も常識のままであり続けるのだろうか?
iPod全盛の昨今、パソコンで音楽を聴く行為はごく一般的になった。だが、いい音で音楽を聴くことは難しい。そんな中、注目を集めているのが、オンキヨーのHDオーディオコンピュータ「APX-2」だ。単品オーディオやCDレシーバーの開発で培ったノウハウをパソコンに応用。コンパクトで静粛性が高く、大型のスピーカーでも余裕を持ってドライブできる駆動力を持つというのが売りだ。
今回はその音質をハイエンド機器を扱うオーディオ店で検証した。果たしてパソコンは専用オーディオにどこまで迫れるのだろうか?
まずは、APX-2の大まかなスペックを見てみよう。
OSにはWindows Vista Home Premiumを採用。500GBのハードディスクと2GBのメモリーを搭載する。CPUには、省電力なノート用CPUであるCore 2 Duo T5500(1.66GHz)を採用している。
パソコン部分のインターフェースはDVI-I(HDCP未対応)、USB×4、IEEE 1394×1(6ピン)、イーサネット。オーディオ部分のインターフェースは、入力がデジタル×2(光1、同軸1)/アナログ×2、出力がデジタル×2(光1、同軸1)/アナログ×1/サブウーファー×1。スピーカー端子は2チャンネルで、バナナプラグ対応ながらYラグには対応していない
従来のパソコンとの大きな違いは、本体にバナナプラグ対応のスピーカー端子を備え、直接スピーカーケーブルを接続できる点だ。デジタルアンプの基板や電源はパソコンのマザーボードと完全に分けられている。
シャーシ部分(左)とMini PCI接続のサウンドカード部分(右)
プリアンプ部分(左)とパワーアンプ部分(右)。これらはモジュール化されており、パソコン部分と独立した設計となっている
パソコン上で再生した音は、Mini PCI接続のサウンドカードからデジタル信号としてアンプ部分に出力され、ここでD/A変換される仕組みだ。増幅部分にはPWM(Pulse Width Modulation)方式のD級アンプを採用。効率が高く、省スペースでも高い出力が得られる点が特徴である。APX-2は幅205×奥行き388×高さ155mmと比較的コンパクトな筐体だが、最大100W×2chの出力を実現している。
各所に施された静穏化のための対策。左上はHDDユニット。フローティング構造としてさらに騒音を漏らさないようシールドされている。右上のようにスペーサーをはさんだり、左下のように緩衝材を利用するといった対策も行なわれている
筐体には、徹底した防振処理が施されており、静音パソコンとしても優れた製品に仕上がっている。フローティング構造を採用したHDDユニットや1.6mmの肉厚シャーシを採用するなど、細部までかなりこだわったつくりだ。起動中のAPX-2に耳を近付けてみたが、わずかにファンの音が聞こえる程度で、ノートパソコン並みに静か(騒音レベルは22dB)だった。
アンプ用に大型のトランスを2基搭載することもあり、本体はずっしりと重い10.7kg。この点でも高級オーディオを志向している印象だ。ネジの締め方にまでこだわっているとのことで、ユーザーが筐体の内部にアクセスすることは推奨されていない。このため、メモリー交換などもサポート対象外となる点は注意したい。
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