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Apple Watchは、健康管理やフィットネスのサポートツールとして注目されているが、実は常時身に付けているウエアラブルデバイスとしての特性から、ビジネスユースのガジェットとしても注目の存在になってきた。今回は、Apple Watchのビジネス利用について、その魅力と可能性を掘り下げてみる。(大谷和利)【この記事の画像を見る】● ジョブズが初代iPhoneを「電話の再発明」と呼んだ理由 アップルが2007年に初代iPhoneを発表したとき、スティーブ・ジョブズは、それをiPodと携帯電話、そして、インターネットコミュニケーションズデバイスが融合した製品であると紹介し、「電話の再発明」と呼んだ。 ところが実際には、iPhoneに関する彼のビジョンの中では、インターネットデバイスとしての役割に最も比重が置かれていた。今に至るその後のiPhoneの使われ方自体が、その最大の証明となっている。 もし、初代iPhone発表の時点で「インターネットデバイスです」ということをメインにアピールしていたら、聴衆はピンと来なかっただろう。実際、プレゼンテーション内で、ジョブズが「インターネットコミュニケーションズデバイス」と口にした際に、客席の拍手はわずかに遅れ、他の2つの時よりも少なかった。iPodや携帯電話と違って、それまで存在していなかったものを理解することは、実際に触れて使ってみるまでは難しいためだ。
● セールスポイントの見極めにたけているアップル Apple Watchにも同じことがいえる。ジョブズは既に他界しており、初代モデルは、まずデジタル時代のファッションアイテムとしてマーケティングされた。この切り口は、当時の最高デザイン責任者で、自身もウオッチコレクターのジョナサン・アイブが主体となって策定されたものと考えられる。 まだ今のようには機能面で充実しておらず、コストパフォーマンスの点で相対的に高価でもあったことや、ウエアラブルデバイスの認知度が低い中で、まずアーリーアダプター層に購入してもらうには、そのようなアピールの仕方が必要だったわけだ。 しかし、モデルチェンジごとにヘルスケアとフィットネスツールとしての機能を強化して全面的にアピールするようになり、スマートウオッチや体活動量計の代名詞としての地位を確立したのである。当初のファッションアイテムとしてのマーケティングに失敗したので、方向転換したと見る向きもあるが、振り返ってみると、生産の立ち上げや改良点の洗い出しのために初代モデルをそのような形で世に送り出し、実用性が上がったところでティム・クック肝煎りのヘルスケア戦略に組み込まれたと考えるほうが理にかなっているように思う。 いずれにしても、機能とともに性能が向上したApple Watchは、ビジネス分野でもさまざまなポテンシャルを秘めている。続いて、そのあたりを見ていこう。
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最終更新:ダイヤモンド・オンラインカテゴリー
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