ヤマハ発動機は、2022年から2024年までの3か年における新中期経営計画を策定。「コア事業の稼ぐ力を強め、サステナブルな社会に貢献する新規事業・成長事業に投資し、デジタルと共創の加速で成長性を高める」を基本方針とし、企業価値を向上させていく。
新中期経営計画では、売上高成長率と投下資本利益率により事業の位置づけを明確化し、経営資源を適正に配分するポートフォリオマネジメントを推進。新規事業と成長事業を戦略事業領域として、将来のコア事業に育てるために経営資源を積極的に配分する。
新規事業では、インド、ナイジェリアに新会社を設立し、現地協業でアセットマネジメント事業を拡大する。低速自動走行では、モノ輸送の事業化と、ヒト輸送の事業性の検証を推進。特定条件下での自動運転技術の確立により、物流の省人化と公共交通機関にアクセスできない地域の移動課題の解決を目指す。医療・健康分野、農業自動化については、2030年までの売上貢献を目標に事業化に向けた取り組みを進める。
ロボティクス事業は、成長する市場で事業規模と領域をさらに拡大するため、商品力、生産能力、営業体制を強化し、成長を加速。また、同社グループに加わったヤマハロボティクスホールディングスとのシナジー効果を高め、さらなる収益力を向上させる。
電動アシスト自転車や車椅子を手掛けるSPV事業では、ドライブユニット「e-キット」のカスタマイズと完成車ニューモデルの投入で、市場成長以上の規模拡大により、売上高の倍増を目指す。
二輪車事業は、需要が回復する新興国市場でプレミアム戦略を推進し、収益性の向上に取り組む。アセアン、インドでは、今後10年で急速に拡大する上位中間層をターゲットと位置づけ、プレミアムセグメントへの魅力的な商品の提供と、デジタルとリアルを融合した顧客との強い絆づくりを進める。
マリン事業では、提供価値拡大と高収益体質を維持・強化。大型船外機のラインアップ拡充と販売比率の拡大、生産能力の増強により事業競争力を高める。また、米国のR&D機能拡充によりコネクティッド技術を活用したシステム開発を加速させ、安全・快適なマリンライフを提供する「マリン版CASE」戦略を推進する。
財務戦略としては、2024年度の売上高2兆2000億円以上(年平均売上高成長率7%以上)、3年平均営業利益率9%以上を目指す。効率性については、資本コスト以上のリターンを継続的に創出し、ROE15%水準、ROIC 9%水準、ROA 10%水準(いずれも3年平均)を目標とする。株主還元については、「業績の見通しや将来の成長に向けた投資を勘案しつつ、安定的かつ継続的な配当を行う」ことを基本方針とし、キャッシュフローの規模に応じて機動的な株主還元も実施する。コア事業・戦略事業・基盤構築に4800億円の資源を配分するとともに、株主還元は自社株買いも含め総還元性向40%(中期経営計画期間累計)とする。
非財務戦略(社会的価値を高める)では、企業活動におけるCO2排出量の削減に向け、省エネ・再エネ設備を10か国以上で導入するとともに、2022年にCO2フリー電力を国内事業所から採用していく。製品使用などに関わるCO2排出量については、プラットフォーム戦略によるEV化の加速に加え、多様なパワートレインに対応した開発を推進。また、新たに設立する環境ファンドを通じた技術・ビジネスモデルの探索活動を加速させる。
安心・安全な移動の実現に向けては、安全運転支援装備の拡充、技量向上のサポート活動に取り組む。さらに、生涯を通じたヤマハファンを創造するため、DX戦略を推進し、世界中のお客様とのつながりを広げていく。人財戦略では、社員エンゲージメントを重要な指標として取り入れ、ダイバーシティ&インクルージョンと人財育成を進める。
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